コラボ小説「ギストリア戦記 番外編」
本編の裏話や、日常の風景を描く番外編です。 他の方のキャラとのコラボ練習。本編の裏側のミニ話。日常のほのぼの風景などをどうぞ。 本筋に深く影響しそうなものは要相談でどちらに載せるか決めてください。
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書き込み 398件

694・ 聖薇
【6年ぶりの帰還・・・】

「あ・・・」

 ゲートを抜けた場所で白百合の悪魔・・・リュカが声を上げる。

 そこは鬱蒼とした木々に囲まれた、墓地のようだった。

「なにココ、幻魔の王家の墓地じゃない? なんでこんなところに・・・」

「ココ、俺が攫われた場所・・・」

 ランディに続いてリュカが呟く。

「・・・なにしてたの、こんなとこで?」

「肝試し」

「一人で!?」

 ある意味で衝撃の事実が発覚。

 リュカはきょろきょろと辺りを見回し、そして一つの墓の前に立つ。

『リュカ・ヴァイス 享年12才』

 石造りの墓に、しっかりそう彫られている。

 リュカはしばらくソレを眺めたあと
1件
693・ 聖薇
>>692 ・聖薇 さん

 塔の方を回って裏庭に着いた白百合。思った通り人に遭わず、裏庭も静かだった。

 ……と、思ったのだが……。

「白百合だ~!?」

「やっと外出たんだ~?」

「遊ぼ~?」

 小さな先客達がいた。

「あ~……うん、はいはい……」

 コレに嫌だと言ったって、聞いてくれないだろう。なにより、今はなにも考えたくなかった。

「ところでなんか、三人くらい増えてない?」

 牢屋にいた頃は五人でワンセットだったが、今は八人いる。小人二人、妖精一人が増えている。

「このへんのお友達~!」

「……そ、そうなの……」

 そうか、この小さい者はわんさかいるもの
692・ 聖薇
【苦悩】

 白百合は一人、のんびり廊下を歩いていた。ランディはルヴァインと話し中だ。通訳を頼まれたが、アレに通訳は必要ないので説得して一人で行かせた。

「……どっかテキトーなトコで待とうと思ったけど……」

 歩きながら、白百合は考える。城の中でもフードにマントというのも問題かもしれないが、とりあえず目立つ。周りがさっきからこっちを見ては、ひそひそ話をしているのだ、距離を取りながら。

 別になにもしないんだけどな? まぁいいや。

 そんな事を考えながら、彼はどこなら目立たず幼馴染みがいない時間を潰せるかを考える。談話室、という気分でもない。というか、行ったら絶対周りが萎縮する。申し訳な
691・ 円する
【幼いシャラの誕生日】


「7月のお誕生日のお友達は、この8人です。みんなでお祝いしましょう。」

「おたんじょうびおめでとー。」

シスターの指示に合わせて子供たちがお祝いの挨拶をする。続けて、シスターのオルガンに合わせた「バースディソング」の合唱が始まった。

孤児院で毎月一度開かれる「お誕生会」は、シャラにとってとても楽しみな日だ。
誕生月の子供には、「皇帝陛下から」特別にデザートが振る舞われる。今月のデザートはグラニュー糖をまぶしたバームクーヘンと、蜂蜜入りのアイスミルクだ。
貧困家庭では一生お目にかかることのない贅沢なお菓子に子供たちは目を輝かせた。

「妹に食べさ
690・ 聖薇
>>689

 ガバッと起き上がるアドルフ。だいぶ強い。メンタルが。

「くっそぉ!?」

 そしてまた殴り掛かって来るアドルフ。しかし今度は見事な跳躍で大きく後ろに下がった白百合。

「いやぁ、うん、強いねぇ。惚れ惚れするよ〜」

 メンタルが。そう言いたいのを必死に堪える白百合。余計な事は、言わぬが吉。

「反撃一つしねぇヤツがなに言ってやがる!」

「いや、うん、出来ないんだよ〜、怖くて」

 メンタル的に。これも黙っておく。

 ついでに面白そうな玩具だと思った事も黙っておく。

「どこまで本気なんだ、コイツ……!」

 チッと舌打ちしてから、距離を詰めに走るアドルフ。次こ
689・ 聖薇
>>688

 確か、中央にいる話し掛けてきたのはサンバガラスのアベルトだったろうか?

 そんな事を考えながら先を歩く白百合。何故サンバガラスなのか、何故アベルトになったのかは誰も知らない。

「……で、丸腰っぽいけど……?」

 裏庭にスタンバイして尋ねる白百合。

「条件はテメェも同じだろ!だから、拳で勝負だ!」

 堂々とそう言うアドルフ。誰が白百合がナイフを隠し持っていると思うか。

 これ、どうすればいいのよ……。

 正直、白百合からしてみれば馬 鹿馬 鹿しい。普通に無視すれば良かったと、後悔すらし始めた。

「……あ〜、うん。はい。じゃあそれでいいや」

 もはやや
688・ 聖薇
※纏めません、多分

【サンバガラス】

 ある日。アドルフは取り巻きに囲まれて自慢話をしていた。

 それはこの間、シャラという女性騎士と手合わせしほぼ互角だったという自慢話。

 女性とはいえ、一応は正式に受勲した騎士である。そんなシャラとほぼ互角だと言えば、アドルフの実力は相当である。手加減でもされていなければ。

「るんるんら〜」

 そこを鼻歌を歌いながら通り過ぎる白百合。ちょうど裏庭に向かっていた。

「そういえば白百合って、そのシャラとかいうヤツと互角だったらしいぜ?」

 取り巻きの一人が、思い出したようにそう言ったのが発端だった。

「そもそもアイツ、なんでまだここにいるわけ
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【誓いを胸に・後編】修正版

「あの女のせいだ!」

 防衛戦から数日後。翌日からの本格的な復旧作業に備えて休養する様にとルヴァインから言われたガノンは、『青い塔』のメンバーと共に部屋に戻る途中で聞こえてきた声に剣呑な響きを感じて一旦止めた足を談話室へと向けた。

(以降変更無し)
683・ ツカサ
【送別】

防衛線から3日と経たないある日、陽子は力仕事を手伝う合間に細めの丸太2本と縄を持って中庭を訪れた。

真ん中辺りまで歩いて行ったあと、少し思案して踵を返し、入り口から数フィートの邪魔にならない位置に胡坐をかいた。慣れた手つきで丸太を組んで縄で括り、簡素な十字架を作っていく。出来上がったそれを土に突き立て、やや力任せに深く刺した。

手を合わせ、瞑目して俯く。誰かのことを格別強く思い浮かべたりはしない。友人でも、そうでなくても、味方であったかどうかさえ関係ない。この戦で犠牲となった全ての人に等しく向けられた鎮魂の祈りだった。

暫くして目を開けた陽子は、ゆっくりと目を開いて立ち上がる
682・ 青卯
そうしてほんの少しばかり時間が経った頃
視界を覆い尽くす程の蒼色が薄れて、視界が本来の色を取り戻し始める。小さく溜め息を溢し改めて周囲を見渡すと、今更ながら彼の姿がない事に気が付いた。

(そういえば……… 周りが凍り始めて直ぐに、走ってるみたいな音聞いた気がする)

人を凍らせずに済んだ事への僅かな安堵を感じつつ足元へと目を向けると、次に目にしたのは地面や秋桜と一緒に分厚い氷に包まれてしまった絵や鉛筆だった。こちらは何かで氷を割らないと取り出せなさそうだ。

「……全部、オレがやっちゃったんだ」

風に揺れる草木の音が聞こえない、氷がキラキラと光を反射している。自分が何れだけ危険な事をしたの
681・ 青卯
目が釘付けとなり、身動きが出来ない。普段から働いているとは言い難い思考も、完全に固まってしまって全く動かない。彼が何か言っているけど、聞き取れない。

折角綺麗に咲いていたのに、もう少しで完成だったのに、何故、どうして

「全部お前が居るせいだ、お前が居なければ!」

「…そうか」

苦しそうな声で彼が告げたその言葉が、全ての答えだった
簡単な事だ。他人の自分が此処に居るから彼は悩み、勝手な事をしたから花は傷付いた。余計な事をしなければこんな事にはならなかった、それだけの事なのだ。
そう納得すると同時に、指先から上って来た冷たさと肌を撫でる涼しい秋風が、身体の奥にまで入り込み、満たしてゆく


680・ 青卯
【凍らせたのは】


庭の片隅に咲く秋桜の前に座って鉛筆を持ち、紙に目の前の花の絵を描く
特に何か理由や意味がある訳でもないが、室内で静かに大人しくしていても邪魔になる事がある為、可能な限り屋外で過ごす様にしているのだ。

「…………」

目の前で風に揺れる綺麗な花を、ゆっくり時間を掛けて丁寧に丁寧に描き写していく。此処に居る時間が長ければ長い程、此処の人達の邪魔にならず、要らないトラブルを起こさずに済む。

(そう、思ってたんだけどな)

「余所者のクセに家で好き勝手しやがってさ、ムカつくんだよお前」

胸ぐらを掴み、自分に対して怒りの感情をぶつけて来ているのは、正真正銘、この家の子供である
679・ 円する
>>678

「拙僧の故郷は、数年に一度は飢饉に見舞われる貧しいところでした。」

彼の故郷は年貢制で、しかも豊作凶作に関わらず同じ量の米を納める、定免法と呼ばれる制度だった。

「その年も凶作で、年貢を納めると食うものなど何も残らぬ状態。道端の土を食うことが出来ればどれほど救われたかーーーそう思わぬ日はありませんでした。」

ある日、子供だった永空は食うものを探して山へ行った。衰弱した妹を助けるために。
幸いにも、山菜といくつかのキノコを手に入れた永空は、飢えに耐えかねてせっかく採った食べ物をその場で全て食べてしまった。

「数日後、妹は死にました。ーーー餓死でした。」

淡々と
678・ 円する
>>677

「なんの、所詮は我欲に過ぎませぬ。」

少しも偉ぶる事なく、永空は自分の好きな詩を紹介して見せた。

野の花に
水たむけるも
欲の内
肉を食らうも
人を救うも

「救世これまた欲なり。拙僧は自分の欲に従って生きているに過ぎませぬ。何の偉いことがありましょうや?」

「それでも、ボクよりは立派です……」

そう呟き、カイは自分の生い立ちを語り始めた。

ーーーー

カイの故郷は大陸の南西部にあって、シマウマや水牛、ドードー鳥、ジオケロンなどを狩って暮らしていた。

変化の少ない日々を送っていた、そんなある日、探検家と称するニンゲンがやって来た。

幼い頃、村の長老から聞
677・ 円する
【カイと永空】

ガイエスブルグ防衛戦が終わり、平穏を取り戻した城内でも、次の戦いに備えてゲリラ隊のメンバーたちは修行に余念がなかった。

とはいえゲリラ隊のメンバーは実力者揃いだ。それだけに練習相手を探すのも一苦労なのだが、そんな中でもそれぞれどうにか合う相手を探して修練を積んでいた。
クロトは同郷のハクロウと、シャラとノルトは異世界の人狼魔術師ウェンと、そしてヒロトや人豹カイは異世界の修行僧永空とーーー

「いつもながらお見事です、エイクウさん。」

何度目かの手合わせの後、槍代わりの長い棒を置き、カイは永空に習った作法に従って一礼した。
人豹族のカイは基礎的な運動能力が人間より高く、しか
676・ 円する
>>675

「ああ!ダメだダメだ!」

シャラはぶんぶんと頭を振った。

自分のこういうネガティブな態度が、逆にみんなに気を使わせてしまうーーーそういう事が分からないシャラではない。

想い人であるファウストにこの先現れるだろう恋敵の話、暗殺者白百合の話、そして貧しさと戦争の話ーーー

お茶会の間、彼女はランバートに「しっかりしろ!」と言われているような気がしていた。
貴族だった彼は祖国を追われ、遠くエールラントまで来ていた。ここに至るまでにどれほど重いものを背負ってきたか、シャラには想像もつかない。

それなのに……エールラントにいた時、ダンスパーティーで少し儚さを感じたものの
675・ 円する
【お茶会の後に】

お茶会が終わり、自室に戻ったシャラはセキレイから贈られた白いカーネーションの髪飾りを外し、それをじっと眺めていた。

白いカーネーション、確か花言葉は「純粋な愛」。

「綺麗……」思わず言葉が口をついて出る。清楚でかつ可愛い。シャラの大好きなデザインだ。
きっと黒髪の自分に合うアクセサリーをセキレイさんは懸命に探してくれたんだろうーーーアクセサリーそのものの美しさもさることながら、セキレイの好意がシャラには何より嬉しかった。

「お土産、どうだったのかな?」

自分しかいない部屋で、シャラは独り呟く。
彼女の脳裏にまずあったのは、あの中で唯一お土産に触れなかったオリーブのこ
>>673

「そんな驚かないでよ。俺がお茶会に参加しちゃ変?」

「そ、そんな事無いですけど、断られるかと思ってたんで……」

「どうして?」

「ヒロトさん、もしかしたらこうゆう集まりとか、苦手なんじゃないかって……」

思っていた事をうっかり口に出してしまい、セキレイは「す、すみません!」と慌てて謝った。

対してヒロトは罰が悪そうに「あー……」と眉尻を下げ苦笑する。

「図星だし、謝らなくていいよ。まぁ、苦手と言えば苦手な方だからね。能力上深入りしなければ都合が良いって利点もあるし」

「利点、ですか……」

「ん。でもそれって好き嫌いを公正化する為の言い訳でしかないんだよ
>>672
(人を避けてる訳では無いのでしょうけど……)

それでも何処か壁のような物を感じてしまう。

「セキレイ? どしたの? 難しい顔しちゃって」

(こちらから話しかければ、ちゃんと笑って話を聞いてくれるのに……)

「え? 何? 俺の顔に何か付いてる?」

(やはり能力のせいもあるのでしょうか……?)

人の心情を感じ取れると言うことは、言動とあべこべの心情も感じ取れると言うこと。
気付きたくなかった他人の心の内に、気付いてしまうこともあるだろう。
それが原因で、極力人と関わりたくないのだろうか。

(でも……)

例え裏腹な感情でも、ヒロトなら上手く受け取められる筈な
【微笑みの裏に】

「それでですね、 陽子さん凄いんですよ! 自分よりも一回りも二回りも大きな男性達を次々倒して行って」

セキレイはショッピングの出来事を上機嫌でヒロトに話していた。
本当は何を買い、何をして過ごしたのか、簡単な報告だけをと思っていたのだが、話始めたらあの時のウキウキした気持ちが甦り、口が止まらなくなってしまったのだ。

「随分楽しんだんだね。気分展開は出来た?」

「はい! とっても!」

力強く頷くセキレイに、ヒロトは優しげな眼差しを向けながら「それは良かった」と微笑んだ。

「あんな風に皆と同じ楽しみを共有出来る日が来るなんて……。本当に夢の様な一日でした」

うっとり
671・ 青卯
【悩める引きこもり】


深夜のガイエスブルグにて、その日オリーブはある悩みから眠れずにいた

「………はぁ」

ベッドに寝転んでいる彼はチラリとテーブルへと視線を移し、深くため息を吐く。カリカリとひとりでに絵を描く色鉛筆達は普段より元気にスケッチブックの上を動いており、それだけ彼等が今日の外出を楽しんでいたのだろう事がわかる。わかるのだがーーーーーーーー

(想像していた以上に自由過ぎる……。まさか、白百合に会いに行ってたとは………)

少し伸びてきた髪を指先で弄びつつ、外出から帰ってきたルリの話を思い返してみる。小人達は好奇心が強過ぎるあまり、食事が乗せられたトレイに乗ってまで地下へと向か
>>669
「白百合に関してはそこまで広く噂になってはいない様だけど……。あぁそう言えばつい最近青の搭ってレジスタンスで内輪揉めがあったわね」

「何の事で?」

「白百合の事でよ。どうやら青の搭メンバーの中にも助けられたのが何人か居るみたいで、暗殺者が人を助ける訳無いってルーって子が騒いでたわね」

「世間的に宜しくないお仕事だからねぇ。暗殺者って」

「でもガノンって人が説き伏せてたわ。暗殺者だって先入観に囚われて真実を見逃してはならない。ってね」

「へぇ……?」

ガノンは確かイーグルとリーシャが所属していた青の搭の副リーダーだった筈だ。
固定概念に囚われない彼だからこそ、
>>668
元居た世界と生活水準が大分変わってしまったこと。
移動がほぼ徒歩であること。
直ぐに癒せる治癒術があること
見慣れない景色、感じ慣れない人の考え。

この世界に来た当初は驚きの連続だった。
自分の正体に気付き、セキレイの成長を見届けると決めてからは、こっちの世界に順応する為に元の世界の常識を早々に切り捨てた。
なのでヒロトは今どちらの常識にも捕らわれていない状態だ。
故に多少の真実なら狼狽せずに受け止めらる。

「まぁ白百合の件はルヴァインさんに伝達しとくよ。もしかしたら俺より重要視する点を見付けてくれるかもしれないし」

「私が報告しましょうか? その身体じゃまだ動き
【常識と善悪】

セキレイ達がオステンドルフへ買い出しに出掛けたその日の夜、ヒロトの部屋に小さな来客が来ていた。縞リスのルリだ。
彼女の方から自分を訪ねて来るとは珍しい。

寝ているベッドに飛び乗って来た彼女に何かあったのかと要件を聞けば、今だ投獄されている白百合についてだった。
買い出しに勝手に着いてきた妖精達に聞いた話。
白百合には実は妖精が見えること、妖精達が何を仕出かしていたかと言うこと。

その内容を聞いたヒロトは……――

「ブフッッ!!」

盛大に吹き出した。

「そこ笑うとこぉ!? 私真面目に話してんのよ!?」

小動物特有の可愛らしい顔を膨らませ怒るルリに、「ごめんごめん」と
667・ 青卯
此方の様子を伺っていたが途中から飽きて暇になったらしい彼等は、既に5人でにらめっこで遊び始めている。

「それにしても、良く今まで無事だったもんね……」



彼等も多少の魔術の心得はあるので若干の自衛は出来るが、体格が違い過ぎる。踏まれれば一瞬で終わりだ。

何度も会いに行っているらしい彼等の様子から、白百合には今のところ彼等に危害を加える意思がなさそうなのは察せはするのだが、本当に運が良いというか警戒心が無いというか………

(まぁ、この子達って元からそういう存在だし。今回はそこから得る物があるだけマシだと思おう、うん)


そんなルリの気苦労を察する事もなく、何か面白い物を見付けたらしい
666・ 青卯
「ねぇ、その白百合って地下にいる人間の事?」
「う、うん。そーだよ?」
「……食べたの?彼のごはん」
「…………ごめんなさい」

再び俯いてしまった友人を見て、代わりに話そうと小人達が集まりルリを囲む


「あのヒトわたし達のこと見えてるから、おもしろくって、ごはんと一緒に運んでもらって遊びにいってたの」
「でもお腹すいちゃうから、何時もごはん分けて貰ってたの」
「じっと見てただけで、白百合怒らなかったの。だから、ぼく達良いんだと思って……」

つまり、なんだ?この子達は地下牢へ行って迄つまみ食いをしていたというのか? いや、確かにそこも大事だが今はもっと他に考える必要がある所があるか



665・ 青卯
「食べ物はみんなの物なのに、なんでダメなの?」

「あの食べ物は『お金』って物と交換しないと貰えない物なの。お金、持ってないでしょ?」

「むぅー……」
「ちょっとつまむだけもダメなのー?」

「そう、ダメなの」


明らかに納得していないらしい小人と妖精の様子につい溜め息を吐く
子供の様に自由で無邪気なこの者達の事だ、このままでは目を離した隙に勝手にあちこちの店のお菓子に手を出すのが容易に想像出来てしまう。厳しいかもしれないが、此処は少々強めに釘をさすとしよう。

「良い? どんなにお腹が空いても、オリーブ君から貰う物以外でヒトの食べ物に手を出しちゃダメ!もし勝手に食べたりしたら………」

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