episode5
misaoさんからどうぞ
214PV16コメ

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「……うん」
沖瀬はしばらく黙った後、小さく頷いた。

「ちょっと連絡してみる」
弁当三箱が入ったビニール袋を航に持ってもらって、ケツのポケットからスマホを取り出す。

コール音が数回なった後、「なんだよ」とうざったそうな磯山の声が聞こえた。

「お前、手首捻ったって? 井上整形外科にいるのか?」
『ああ。もう診察終わった』
「どんなだった?」
『折れてはない。まあ、一週間もすればあんなことやこんなこともできるようになる』

なんだよ、「あんなことやこんなこと」って。
磯山らしいな。

「今病院の入り口にいるんだけど。弁当持ってきたから、みんなで食おう」
『えっ!? マジか。でも真凛は胃が痛い
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【イノウエ/七海洋平太】

磯山の鞄は航に持ってもらった。6人分の弁当を両手に下げると、残念ながら莉緒と手を繋げない。
まあ、航もいることだし、ちょっとは遠慮するか。

磯山兄妹《いそやまきょうだい》が行った方向は分かっているし、莉緒の話からどうやら近くの整形外科に行ったことも分かってる。

すっ飛んで行った沖瀬。あいつ一体どこに行くつもりだったんだろう。
「美波から連絡あったよ」
莉緒が俺を見上げてきた。見せてくれた画面は絵文字だらけで目がチカチカした。

ーー磯山くんと真凛は整形外科にいるよ。磯山君が転んで手首捻っちゃったんだ。
ーーそうなの。多分そこ通り過ぎたから、戻って入り口で待ってる
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11・ Nil@激多忙
続き→


「あれ、美波はどこ?」

莉緒たんが室内を見回して焦った声を出してる。

「どうしたの、莉緒たん。沖瀬さんなら少し前に部屋から出ちゃったんだけど」

「そっか……美波には伝えておきたかったんだけどな」

なぜか肩を落として莉緒たんが、部屋に置かれていた磯山くんのカバンを手にする。

あれ、そういえば真凛は……?
磯山くんは?

どうして莉緒たんだけが帰ってきたんだろう。

「ね、莉緒たん……真凛と磯山くんは?」

まさか、莉緒たんでもダメだったの?

冷や汗が噴き出る僕に、莉緒たんがいつものスウィートスマイルを向ける。

「大丈夫だよ、航きゅん。真凛も元気だよ! ただ……大洋くんが
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10・ Nil@激多忙
【Nil/小波航】


沖瀬さんが部屋から出た途端、洋平太くんがゴロリと寝転んだ。

「なぁ、航〜」

「どうしたの?」

さっきまでのケラケラ笑っていた洋平太くんが真面目な顔で天井をボーッと見つめている。部屋の中はアリスたんのポップな音楽が流れ続けていた。

「俺が電話であんな事言ったから、磯山妹の様子がおかしくなっちまったのかなぁ」

「え、どうしたの……いきなり」

「いや……俺が沖瀬と先生がイチャイチャしてる、みたいな事言ったとき、明らかにあいつ顔色が変わったからさ……せっかく来てもらったのに、なんか俺余計なこと言っちまったなぁって」

いつも明るい洋平太くんが、センチメンタルな表情で
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「だからママが言いたいのはね、2人は正真正銘私がお腹を痛めて産んだ子どもってこと。でも好きな人と一緒になるのが1番だから。だからもし真凛が大洋を好きで大洋が真凛を好きになっても、パパもママも否定しないからね」
「母さん……」
「だって」


2人には今世こそ、大好きな人と一緒になってほしいもの。


母さんはそう言ってにっこり母親らしく微笑んだ。


その時、都合よくインターホンが鳴る。母さんがはいはーいと玄関に向かっていくのを見送り、私は小さく息を吐いた。

前世がどうとかにわかには信じがたいけれど、なんだか腑に落ちる部分もあって。やっぱり兄貴は変わらず私の大切な人で、もしかしたらそれは
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「今日確かめない? じゃないと私も兄貴も先に進めない。母さんに隠してることがないか、ちゃんと聞くんだ」


大丈夫。これはただのケジメだ。先に進むためのケジメ。どんな事実があったとしても兄貴との関係は変わらないんだから。問題ない。


そう伝えると兄貴は小さく頷き、久しぶりに頭を撫でてくれた。



***


「えぇ、やっだ、そんなこと心配してたの? 可愛い♡」


ダイニングテーブルを挟んで兄貴と2人、肩の力をまるでスライムのように脱力させていた。目の前にいるのは変わらない母親の姿。

母さんはかじっていたクッキーを皿に戻し、ほくほくした顔で4Dのエコー写真と母子手帳を見せてくれた。

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【綾瀬/磯山真凛】


兄貴は意外と、私を大切に思ってくれてたらしい。

医者に向かって、

「折れてるんですか?!」
「いつ治りますか?!」
「いつ彼女にあんなことやこんなことしても大丈夫になりますか?!」


とまくし立てる兄貴の背中を見つめながらそんなことを考えていた。それでもやっぱり引っかかる。

大洋は真凛の王子様? 将来結婚する?

母さんへの疑惑は増すばかりだ。意味深な発言や流し目をしてみてはヘラヘラ笑って誤魔化したり、やたら仲良くさせようとしてきたり。西園寺クリステルまでが「結ばれる可能性がある」だなんて言い出す始末。

今更兄貴とどうこうなりたい訳じゃない。でもこんな気持ちじ
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6・ ねこまむ
【大洋 続き】

「兄貴に守られてたなんて、意識は無いね」

「だろうね。でも、そう思い込んでたんだよ。
母さんがさ、事ある毎に、

『お兄ちゃんはね、真凛の王子様なの。将来結婚するんだから。
だから、ずっと真凛を守ってね』

とか言うからさ。
ま、小学生になった頃には、流石に妹と結婚なんて変だって気付いたよ。
でも、やっぱり俺にとって、お前はずっと特別なんだ」

そう言うと、真凛は怪訝な顔をした。
まあ、そうだろう。
これじゃあ、まるで愛の告白だ。
実際、最近までは、真凛の事が好きなのかも知れないと本気で悩んでいた。
流石に言えないけど。

そんな事を思っていたら、真凛が口を開いた。

「|
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5・ ねこまむ
【ねこまむ/磯山大洋】

ハハッ、やっぱり来てくれるんだな。

唇を噛み締め、プルプルと震える真凛を見て思った。

「……馬 鹿兄貴!!
兄貴がカッコよかった事なんて今まで一度もないよ」

「そうかもな」

転んだ拍子に地面に叩きつけた両掌が、いやそれよりも変な風に捻ったらしい手首がズキズキと痛む。
ひょっとしたら捻挫したのかも。

顔をしかめていると、真凛が眉を寄せた。

「どっか、痛いの?」

「ん……ちょっと手首が」

口ごもりつつ答えると、真凛が波野に向かって口早に言った。

「莉緒、ゴメン。私、兄貴を連れて医者に行ってくる。
悪いけど、みんなには適当に言っといて」

「分かった!

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4・ kanami
【沖瀬 2】


ふぅ……と吐き出した息が、震える。 
そっと開いた指先が、震える。

あは、私、どれだけ自信ないんだろ。

たまらずしゃがみこんだ瞬間―――


「あら……あなた、どうしたの?」

背後から、花のようにふわりと優しい声が降ってきた。

「おばあさま……!」

立っていたのは、七海くんのおばあさまの七瀬さん。
苔用の霧吹きを片手に、たおやかな佇まいで私に向かって微笑んでいる。

「洋平太、ちゃんと勉強してるかしら?」
「え、あ、はい……多分……?」

勉強のべの字も忘れて、今ごろアリスに夢中だと思うけど……

「…………浮かない表情ね。可愛らしいお顔が台無しよ。
あの男の子は、
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3・ kanami

【沖瀬美波/ka*na*mi】

「はぁ~♡ アリスたん♡ 堪らないよ!」
「このさ……揺れがいいよな、揺れが」
「わかる!? 七海くん! あ~でも七海くんにはリアルアリスたん……莉緒たんがいるじゃないかぁ! 莉緒たんも、アリスたんに負けず劣らずなかなかのボリューム……」
「お、おいっ航! 莉緒のこと変な目で見たらブッ殺 すぞ! アイツは俺の彼女なんだからな、カノジョ!」
「わかってるよ、それに僕には真凛っていう大事な人がいるんだから」
「磯山妹を扱えるのなんて兄貴以外は航くらいだろうな。なぁなぁ……磯山妹も航の前だとしおらしくなんの?」
「真凛は……僕の前では可愛い女の子だよ、ちゃんと
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