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イノウエ佐久*🐻
2020/4/10
epilogue
ちょっと将来のこと
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10・
Nil@激多忙
5/4 12:05
ラスト。゚(゚´Д`゚)゚。
「ね、真凛。キスしていい?」
「え、は、はぁ!? こ、ここで!?」
「うん、駄目?」
「い、いい……けど……」
そう言って目を瞑る真凛の頬に手を添える。
紅く染まる頬も唇も。
ずっとずっと……──
「おい!」
真凛の柔らかな唇に触れた瞬間、真横から突き刺さる低音。
「ヒッ」
「げ、兄貴」
「忘れ物取りに帰ったら……小波! てめぇ!! 人ん家の前で、何してくれてんだあぁー!!」
血管を浮き上がらせた磯山くんのこの姿も、もうすっかり見慣れてしまって、
「真凛!」
「航!」
僕たちは、ただただ、
「「逃げろぉー!!」」
笑いながら走り
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9・
Nil@激多忙
5/4 12:04
続き→
「ほら。到着しましたよ〜! 大切なお姫様に粗相のないようにね!」
「分かってるよ」
「あ、航! 小波家家訓、其の四!」
「……友と女は死ぬ気で守れ、でしょ?」
「上出来!」
「じゃーね」
「泊まりでもいーよ」
「なっ!!」
車を見送った後、緩んだ頬をぱちんと叩く。
だめだめ。エッチな妄想は、とりあえずここでストップ。服装をもう一度チェックして、手を伸ばす。
──ピンポーン
真凛の家のインターフォンを押して、少しだけ早まる鼓動に深呼吸する。
みんなを交えて遊ぶことは何度もあったけど、二人きりで朝から夜まで、というのは今日が初めてだった。
「わっ、わた……る……」
「わ
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8・
Nil@激多忙
5/4 12:03
【Nil/小波航】
莉緒たん、元気ですか?
この手紙が届く頃には、きっと僕たちは久々の再会に歓喜していることと思います。
なので、本当は直接話そうかと思ったのですが、恥ずかしいのでこうしてお手紙を書いてます。
実は今日、記念すべき僕と真凛の初デートなのです。
「航ー! まだー?」
「まだ準備できてないんだよぉー」
「例の二人と夜更かしなんかするからでしょ!」
「週一の恒例なんだから仕方ないじゃんっ」
「アリスたんより、今は真凛ちゃんのくせに?」
「そ、そりゃそうだよ!」
「あはは、朝から惚気ちゃって〜。ほら、車出してあげるから乗りなよ」
「ありがと! 姉ちゃん!」
あれ
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7・
綾瀬 シキ@やや多忙
5/3 0:15
「まずったかな……普通にジーパンの方がよかったかも……」
下半身が妙にスースーする。スカートは制服で慣れてるはずなのに、いざ、こうやってデートにワンピースなんて着てしまうと、やたらドギマギする。
「似合ってない? もし真凛変とか……言われたら……死ッ」
玄関で思わず体操座りをしてしまった。
何?初デートに気合いかまし過ぎじゃねぇのとか思われちゃう? そもそもこのコーデは正しいのか? いや渚様がこれがいいって言ったんだからこれで……でも航の好みを聞いたわけじゃない。
どうしよう、普通に怖いんですけど。
「女の子って……こんな大変なの?」
ぴったりのパンプスまで買ってもらっ
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6・
綾瀬 シキ@やや多忙
5/3 0:02
【磯山真凛/綾瀬】
「千、二千……5千円で、1万! あと小銭が……」
バフンウニ貯金箱をかち割り中にあるお金を数える。
思い起こせば、私がこの高校に入学したのは就職率が果てしなくよかったから。将来安定した収入を得て渚様に安定した貢ぎ方ができるなら、他には何もいらなかった。
4月の私は、今の私を想像できただろうか。
「よし、これだけあれば映画代もご飯代も足りる! みんなにプレゼントも買えそうだな。てかハワイって送料どんくらいすんの……? まぁいいや。どうでもなるでしょ」
今だってもちろん渚様が大好き。だけどもう渚様に甘えて目を塞ぐのはやめることにした。渚様だってきっと、あの
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5・
ねこまむ
5/2 7:48
【磯山大洋/ねこまむ 続き】
思えば、苔と見栄とエロ動画が全てだった俺の人生は、高校に入って激変した。
いつの間にか、両腕に抱え切れない程の宝物を持っていたのだから。
心を許し合える掛け替えのない友人達、数年振りに本音で話せるようになった妹、そして美波。
俺の学園生活は彼らによって彩られ、深みを増した。
これまでも色々あったし、これからも恐らくあるだろう。
でも、コイツらが一緒なら何とかなる。そう思えてならないんだ。
ブブー ブブー
そんな俺の感傷を分断するかのように、ポケットに入れていたスマホが振動した。
小波からのLINEだった。
ーー今晩、洋平太くんも誘って、夜更かしアリスや
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4・
ねこまむ
5/2 7:47
【磯山大洋/ねこまむ】
朝イチ、駅ナカ本屋の片隅にて。
もうジャケットは要らなくて、何なら長袖のシャツを着ていると汗ばむような陽気にも関わらず、背中にぞくりと悪寒を感じた。
「いそやまクンじゃねぇか」
友好的とは掛け離れた声の方をチラリと見やると、上背のある、金髪碧眼のオッサンが俺を睥睨《へいげい》している。
「あっ……」
「久しぶりだな。彼女の事故以来か」
トラックに撥ねられそうになった美波を救ってくれた恩人、ロイ・エバンスだった。
俺と美波が恋人同士になるキッカケを作ってくれた人物でもある。
なんだけど。
俺はどうもコイツが苦手だ。
片方だけ口角を上げてキザに笑う顔とか、本当
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3・
kanami
5/1 3:46
【美波】②
「あれ、お前、出掛けるのにコテコテのメイクもうしてないんだ?」
薄化粧の私に気づいたお兄ちゃんが、鏡越しにまじまじと私の顔を覗きこんでくる。
「うん。もう必要ないんだ。私には」
バッチリメイクも、アイプチも。
6枚の分厚いブラパッドも。
きっと、自分を守るために磨きをかけた占いも……
私には……もう。
だって、私はもう、自分の気持ちに正直にしたがって、自分の力で行動できるもの。
「じゃあお兄ちゃん、私、大人になってきます。今日は帰り遅くなるけど、お母さんたちには上手く誤魔化しておいて」
「え、お、おと…………はっ!?」
「行ってきまーす!」
「ちょっ……! 高
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2・
kanami
5/1 3:42
【沖瀬美波/花本かなみ(ka*na*mi)】①
「本当に辞めちゃうのか? うちのバイト。かなり好評だったのになぁ、お前のタロット占いも、『西園寺の館』もさ」
お兄ちゃんが、私の部屋のドアにもたれ掛かりながら、残念そうにぼやく。
「うん。だって……出来なくなっちゃったものは、仕方ないじゃない」
――そう。
あれだけ得意だったはずのタロット占い。
気づいたら私は、全く当てることができなくなってしまったのだ。
いつからなのかは、よくわからない。
お兄ちゃんの会社で製作している人気占いアプリ『西園寺の館』の有料版、『西園寺の別館』の監修をしたあたりまでは、確かにちゃんと占えていた
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1・
イノウエ佐久*🐻
4/11 0:07
【イノウエ/七海洋平太】
「買っちまった……」
サーフボードを両手に、俺は呟いた。もちろん、パフォーマンス重視のショートボード。
ビルトのP-51マスタング。ジャンクコンディションや、たるい波でも走りきれるボードだ。
そして、莉緒があの日……最初に波乗りを教えてくれた時に貸してくれたボード。
夏が始まる前。新聞配達のバイト続けて貯めた金で買った。あー、くそ、抱きしめてえ。いや、抱きしめる!
路上でサーフボードを抱く変態な俺の周りを、人が避けていく。
莉緒は父親がハワイに家を買った為に、向こうで生活することになってしまった。俺たちは離れ離れ。
空港に送って行った時は、女どもを差し置
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「ね、真凛。キスしていい?」
「え、は、はぁ!? こ、ここで!?」
「うん、駄目?」
「い、いい……けど……」
そう言って目を瞑る真凛の頬に手を添える。
紅く染まる頬も唇も。
ずっとずっと……──
「おい!」
真凛の柔らかな唇に触れた瞬間、真横から突き刺さる低音。
「ヒッ」
「げ、兄貴」
「忘れ物取りに帰ったら……小波! てめぇ!! 人ん家の前で、何してくれてんだあぁー!!」
血管を浮き上がらせた磯山くんのこの姿も、もうすっかり見慣れてしまって、
「真凛!」
「航!」
僕たちは、ただただ、
「「逃げろぉー!!」」
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