epilogue
ちょっと将来のこと
141PV10コメ

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10・ Nil@激多忙
ラスト。゚(゚´Д`゚)゚。



「ね、真凛。キスしていい?」

「え、は、はぁ!? こ、ここで!?」

「うん、駄目?」

「い、いい……けど……」

そう言って目を瞑る真凛の頬に手を添える。
紅く染まる頬も唇も。
ずっとずっと……──

「おい!」

真凛の柔らかな唇に触れた瞬間、真横から突き刺さる低音。

「ヒッ」
「げ、兄貴」
「忘れ物取りに帰ったら……小波! てめぇ!! 人ん家の前で、何してくれてんだあぁー!!」

血管を浮き上がらせた磯山くんのこの姿も、もうすっかり見慣れてしまって、


「真凛!」
「航!」

僕たちは、ただただ、


「「逃げろぉー!!」」


笑いながら走り
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9・ Nil@激多忙
続き→


「ほら。到着しましたよ〜! 大切なお姫様に粗相のないようにね!」
「分かってるよ」
「あ、航! 小波家家訓、其の四!」
「……友と女は死ぬ気で守れ、でしょ?」
「上出来!」
「じゃーね」
「泊まりでもいーよ」
「なっ!!」


車を見送った後、緩んだ頬をぱちんと叩く。
だめだめ。エッチな妄想は、とりあえずここでストップ。服装をもう一度チェックして、手を伸ばす。


──ピンポーン


真凛の家のインターフォンを押して、少しだけ早まる鼓動に深呼吸する。

みんなを交えて遊ぶことは何度もあったけど、二人きりで朝から夜まで、というのは今日が初めてだった。

「わっ、わた……る……」
「わ
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8・ Nil@激多忙
【Nil/小波航】



莉緒たん、元気ですか?


この手紙が届く頃には、きっと僕たちは久々の再会に歓喜していることと思います。

なので、本当は直接話そうかと思ったのですが、恥ずかしいのでこうしてお手紙を書いてます。

実は今日、記念すべき僕と真凛の初デートなのです。



「航ー! まだー?」
「まだ準備できてないんだよぉー」
「例の二人と夜更かしなんかするからでしょ!」
「週一の恒例なんだから仕方ないじゃんっ」
「アリスたんより、今は真凛ちゃんのくせに?」
「そ、そりゃそうだよ!」
「あはは、朝から惚気ちゃって〜。ほら、車出してあげるから乗りなよ」
「ありがと! 姉ちゃん!」


あれ
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「まずったかな……普通にジーパンの方がよかったかも……」


下半身が妙にスースーする。スカートは制服で慣れてるはずなのに、いざ、こうやってデートにワンピースなんて着てしまうと、やたらドギマギする。


「似合ってない? もし真凛変とか……言われたら……死ッ」


玄関で思わず体操座りをしてしまった。

何?初デートに気合いかまし過ぎじゃねぇのとか思われちゃう? そもそもこのコーデは正しいのか? いや渚様がこれがいいって言ったんだからこれで……でも航の好みを聞いたわけじゃない。

どうしよう、普通に怖いんですけど。


「女の子って……こんな大変なの?」


ぴったりのパンプスまで買ってもらっ
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【磯山真凛/綾瀬】

「千、二千……5千円で、1万! あと小銭が……」


バフンウニ貯金箱をかち割り中にあるお金を数える。

思い起こせば、私がこの高校に入学したのは就職率が果てしなくよかったから。将来安定した収入を得て渚様に安定した貢ぎ方ができるなら、他には何もいらなかった。


4月の私は、今の私を想像できただろうか。


「よし、これだけあれば映画代もご飯代も足りる! みんなにプレゼントも買えそうだな。てかハワイって送料どんくらいすんの……? まぁいいや。どうでもなるでしょ」



今だってもちろん渚様が大好き。だけどもう渚様に甘えて目を塞ぐのはやめることにした。渚様だってきっと、あの
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5・ ねこまむ
【磯山大洋/ねこまむ 続き】


思えば、苔と見栄とエロ動画が全てだった俺の人生は、高校に入って激変した。
いつの間にか、両腕に抱え切れない程の宝物を持っていたのだから。

心を許し合える掛け替えのない友人達、数年振りに本音で話せるようになった妹、そして美波。
俺の学園生活は彼らによって彩られ、深みを増した。
これまでも色々あったし、これからも恐らくあるだろう。
でも、コイツらが一緒なら何とかなる。そう思えてならないんだ。

ブブー ブブー

そんな俺の感傷を分断するかのように、ポケットに入れていたスマホが振動した。
小波からのLINEだった。

ーー今晩、洋平太くんも誘って、夜更かしアリスや
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4・ ねこまむ
【磯山大洋/ねこまむ】

朝イチ、駅ナカ本屋の片隅にて。
もうジャケットは要らなくて、何なら長袖のシャツを着ていると汗ばむような陽気にも関わらず、背中にぞくりと悪寒を感じた。

「いそやまクンじゃねぇか」

友好的とは掛け離れた声の方をチラリと見やると、上背のある、金髪碧眼のオッサンが俺を睥睨《へいげい》している。

「あっ……」
「久しぶりだな。彼女の事故以来か」

トラックに撥ねられそうになった美波を救ってくれた恩人、ロイ・エバンスだった。
俺と美波が恋人同士になるキッカケを作ってくれた人物でもある。

なんだけど。

俺はどうもコイツが苦手だ。
片方だけ口角を上げてキザに笑う顔とか、本当
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3・ kanami
【美波】②


「あれ、お前、出掛けるのにコテコテのメイクもうしてないんだ?」

薄化粧の私に気づいたお兄ちゃんが、鏡越しにまじまじと私の顔を覗きこんでくる。


「うん。もう必要ないんだ。私には」

バッチリメイクも、アイプチも。
6枚の分厚いブラパッドも。

きっと、自分を守るために磨きをかけた占いも……
私には……もう。

だって、私はもう、自分の気持ちに正直にしたがって、自分の力で行動できるもの。


「じゃあお兄ちゃん、私、大人になってきます。今日は帰り遅くなるけど、お母さんたちには上手く誤魔化しておいて」
「え、お、おと…………はっ!?」
「行ってきまーす!」
「ちょっ……! 高
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2・ kanami
【沖瀬美波/花本かなみ(ka*na*mi)】①


「本当に辞めちゃうのか? うちのバイト。かなり好評だったのになぁ、お前のタロット占いも、『西園寺の館』もさ」

お兄ちゃんが、私の部屋のドアにもたれ掛かりながら、残念そうにぼやく。


「うん。だって……出来なくなっちゃったものは、仕方ないじゃない」



――そう。
あれだけ得意だったはずのタロット占い。
気づいたら私は、全く当てることができなくなってしまったのだ。


いつからなのかは、よくわからない。
お兄ちゃんの会社で製作している人気占いアプリ『西園寺の館』の有料版、『西園寺の別館』の監修をしたあたりまでは、確かにちゃんと占えていた
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【イノウエ/七海洋平太】


「買っちまった……」

サーフボードを両手に、俺は呟いた。もちろん、パフォーマンス重視のショートボード。
ビルトのP-51マスタング。ジャンクコンディションや、たるい波でも走りきれるボードだ。
そして、莉緒があの日……最初に波乗りを教えてくれた時に貸してくれたボード。

夏が始まる前。新聞配達のバイト続けて貯めた金で買った。あー、くそ、抱きしめてえ。いや、抱きしめる!

路上でサーフボードを抱く変態な俺の周りを、人が避けていく。


莉緒は父親がハワイに家を買った為に、向こうで生活することになってしまった。俺たちは離れ離れ。
空港に送って行った時は、女どもを差し置
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