エブリスタ読書会 【群芳譜】


【第二弾】『斜陽』太宰治
もしかしたら、『斜陽』は第三弾だったかも、とにかく次に大江健三郎の『新しい人よ眼ざめよ』が来ます。
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4・ 仁矢田 美弥
何回か読みましたが、もうかなり前で細かいところは忘れてしまいました。後でまた読もうと思います。ちなみに私が再読したいと思う作品、複数読みたいと思う作家はごく稀です。
『斜陽』は私にとっては『人間失格』以上に完成度の高い作品と思っております。
とにかく言葉がすごい。「戦闘、開始。」もその一つですが。
太宰の粋がこもっていると妙な言い方ですが、唸るしかありません。
ちなみにこの作品をただの「盗作」と言って非難する人もいましたが、あの天才的なキレは有無を言わせませんね。
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私のは再読3回目での参加でした。
改めて名作! 太宰のいう「拵えもの」が存分に発揮された作品です。
華族の没落を描いた「人の堕ちるさま」のストーリー自体、魅力的ではあるのですが、今回注目したのは本作での文体。

本作は主人公のかず子による一人称で語られますが、美しく貴族のままのお母様に憧憬する思いがこれでもか、と流れ込んできます。
違和感のあるお母様の言動を、〈かず子にとって「正しく美しく」語っていのだとを、再認識しさせられます。
それ程に、かず子の視野に読者を誘導する文体、まるで太宰自身がかず子に憑依されて筆を動かされたように、言葉が流れていきます。うーん、バイアスのかかった一人称叙述法が凄
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2・ 蜜原みな子
 『斜陽』、けっこう複雑な構成ですね。
 ただの一人称小説ではありません。
 主人公、というか話者のかず子さんの独白に書簡体のパートがきたり、七章はほとんど直治《なおじ》の遺書だったり……。
 
 もともと太宰治がインスパイアされたの、著名なチェーホフの『桜の園』なのですが、個人的にはずっと好きな作品です(『桜の園』もいいし、神西清先生の訳も見事なので優劣つけがたいのですが……)。
 
 わたしはメンタルを病んでいたり(それかそんなに重篤ではないいわゆるファッションメンヘラとかね)、とにかく「痛い自分」の存在を肯定したくて、太宰の『人間失格』を手にとる子たちを見てきました。というより、太宰の作
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1・ 蜜原みな子
 新潮文庫旧版だと131ページ、まるで蓮實重彦のように句点を極端に打たない長回し、「と、ばか叮寧なお辞儀をして、外へ出て、こがらしに吹かれ、戦闘、開始、恋する、すき、こがれる、本当に恋する」(まだまだ長いです。後略)はある種かず子のエッセンスが詰まっているといってもいいぐらいです。六章で二回、かず子が自分に言い聞かすような「戦闘、開始。」の切り詰められた言葉が、没落しようが貴顕は貴顕、そんな意味とともに、エクリチュール、要は書かれた文章《テクスト》の強度がすさまじいことになっています。
 
 直治の科白、日記や遺書は、かなり確実に太宰治本人の肉声でしょう。
 太宰のようになるにはまずは貴族の出
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