リレー小説・本文
・ジャンルは異世界ファンタジー ・中世洋風の世界感(ドラクエな感じ) ・魔法(異能力)あり ・電気や銃火器などの文明の利器はなし。 ・一度の文量は1000~10000字(厳密な定義ではない) ・期間は
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11・ MAGIGO
【四話:MAGIGO】③

「ええ。追っ手。貴方、最初の敵兵を刺しこ ろしたあとは、混乱して敵味方構わず剣を振り回していたじゃないの。それで聞いたのよ、『落ち着けリトゥム!』って。親切なその人も切り伏せて貴方はこの森まで歩いてきた。忘れちゃったの? 覚えてないの? 同じようで全然違うけど、このままこの辺りをうろついているのがまずいってことは私にもわかるわよ」

「な、なん・・・だって・・・」

風に吹かれて木の葉が擦れ合う音に、リトゥムは過剰に反応した。

「うわあああ! び、吃驚した! ぼ、ぼ、僕は大罪人だ! 君の話が本当なら僕は大罪人だ!」

「ええ。大罪人ね。貴方が剣を振るった時に見せた
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10・ MAGIGO
【四話:MAGIGO】②

卵が地面に落ち、ぱりぱりと割れる。中から出てきたのはくりくりとした目元を長い睫毛で飾った、ヘンテコなトカゲだった。なんたってたいそうな翼が生えているのだ。

「まあ! 貴方の瞳に映った私、とっても愛らしいわ! さあ、可愛い名前を付けてね!」

「ちょ、ちょっと待って、僕は・・・」

漸く揺れが落ち着いてきた頭で、リトゥムは出来事を整理し始めた。

「き、君はなんだ? どうして僕なんかの名前を知っているんだ?」

「貴方、戦場でそう呼ばれていたじゃない。『落ち着けリトゥム!』って。あら? もしかして『オチツケリトゥム』って名前だった?」

「い、いや、僕はリトゥムだが
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9・ MAGIGO
【四話:MAGIGO】①

どうやって戦場から逃げ出したのか覚えていない兵隊、臆病者のリトゥムは、初めての戦で身体を震わせながら剣を振るい、敵兵の鎧の隙間に滑り込むように刃が入り、血が噴き出したところでなにもかもを忘れていた。

「ど、どうしよう・・・」

国に戻ることはできない。天涯孤独の身で庇ってくれる人などいない。どこへ行ってどの仕事をしても失敗して追い出されて、本当に最後の最後、味方を守る肉の盾となり、敵兵を一人でも多く倒すための下っ端として兵隊になれたのだ。リトゥムはその役目すら果たせなかった。身体だけは無駄に大きい、無駄飯喰らいのでくの坊。国がそんな存在を許すはずもない。

ガチャ
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【三話:マッシー】④

「魔導士は剣士に比べると極端に少ないけど、確かに存在するよ」
「そうか、なら名付け親になってやってもいい」
「やった! ダリウス大好き!」
 竜は嬉しそうにダリウスの周りを飛び回った。
「でも竜の名前って言われてもピンと来ねぇな。他の竜はどんな名前なんだ?」
「知らないよ、ボクは生まれたばかりなんだから」
 ダリウスは立ち上がり、空中で羽ばたいている竜の顔を正面から眺めた。
「うーん……さっき言ってた竜の神様の名前、なんつったっけ?」
「ヴリトラーヌ様だよ。これから加護を受けるんだから忘れないでよね」
「よし、じゃあおまえの名前はヴリトラだ。それでどうだ?」
「うん! 
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【三話:マッシー】③
 
 竜は枝の上から飛び降りてダリウスの肩に止まった。
(そういえばコイツ、卵でも人の言うことがわかるんだった)
 確かにこれはただのトカゲではなさそうだ。
「竜をトカゲと間違えるなんて、まったく君はどうかしてるよダリウス」
 竜はちょっと怒ったようにダリウスを睨みつけた。
「何を偉そうに。所詮は爬虫類じゃねぇか。ヘビやカエルと一緒だろ」
「カエルは両生類。ダリウス馬 鹿でしょ?」
「あ? 喧嘩売ってんのかこのトカゲ野郎」
「だからトカゲじゃないって言ってるだろ!」
 数舜の睨み合いの後、喧嘩が始まった。
 ダリウスから見れば、相手はせいぜい子猫程度の大きさ、楽勝のはずだ
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【三話:マッシー】②

「わ、わかった! 目玉焼きにはしねぇからやめてくれ!」
 言った途端、玉子の攻撃が止んだ。
 目の前に浮遊する緑の玉子を見ながら、ダリウスは呆然と立ち尽くした。
「まさかとは思うが……おめぇ俺の言ってることがわかんのか?」
 すると、玉子はまるで頷くかのように上下に揺れた。
「マジかよ……」
 夢でも見ているのはないかと思い、頬をつねってみたが、ちゃんと痛みは感じる。どうやら夢でも幻でもないらしい。
 玉子と和解したダリウスは、彼(?)をポケットにしまい、再び歩き出した。
 一刻ほど歩いたところで日が暮れてきたので、寝やすそうな枝を探して樹木を物色する。このあたりの森に
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【三話:マッシー】①

 食料を出してくれた猟師の山小屋で一泊した後、ダリウスは山を下り始めた。バルトニアの王都バルティニスまでは徒歩で一日半ということだから、明日の午後には着くだろう。
 広葉樹が鬱蒼と茂る森の中を半日ほど歩き、日が傾き始めた頃、休憩するのに丁度良い小川を見つけ、ダリウスは川べりに腰を下ろした。
 水深は膝上くらいで、水底にはヤゴや小型の甲殻類が午後の陽光を浴びながら動き回っている。
 両手で水を掬い一口飲むと、腹がグゥと鳴った。 
(やっぱり貰っときゃ良かったかな……)
 朝出立する時に持って行けと言われた干し肉と乾パンを、ダリウスは受け取らなかった。猟師が、十五年前に死ん
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4・ うづきあお
【二話:うづきあお】②


「クロエ、なんとしても三つの卵を取り戻せ」
「卵でいてくれるならまだしも、孵化してたら竜自身に拒まれると思うよ」
「その時は竜を殺 せ。それから竜に関わった者も全て始末しろ」
「うーん、僕にメリットがない」
「ことが済めばお前にアレを返してやろう」

終始気乗りしない態度であったクロエが初めて反応を見せた。
気配そのものが変わったと言ってもいい。

「……その約束、本当に守ってもらえるの?」
「当たり前だ。私を誰だと思っている」
「だって、ユディア王は許さないかもしれない」
「元々お前の管理は私に一任されている。王はお前を恐れているからな」
「自由になったら僕はあな
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3・ うづきあお
【二話:うづきあお】①


「竜の卵が、消えただと……?」

城内は勝ち戦の報告が矢継ぎ早に届き、どこもかしこも祭りのように沸いている。
だがその地下の一室では、恐ろしい報告を受けた宰相ガフが、今にも心臓発作を起こしそうな面持ちでよろよろと壁に手をついていた。

「い、いったい何故そんなことになったのだ!?」
「これは僕にとっても予想外でした。あの卵が意思を持つことは分かっていましたが、まさか自力で逃げ出すとは思わないじゃないですか」
「自力でだと!?三つの卵が、全て自分で逃げ出したと言うのか!?」

年老いた宰相の口角から飛沫が飛ぶ。
それを迷惑そうに往なすのは、頭から黒いローブをすっぽり着
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 部屋の中は閑散としていた。木製のテーブルが一つと椅子が二つ。あとは引き戸の付いた箪笥があるだけだ。
「食い物を持ってきてやるから座って待っていろ」
 男はそう言うと隣室に入っていった。
 ダリウスは一度鞘に納めた剣を抜き、立ったままで男を待った。食糧の代わりに刀剣弓矢が出てきてもおかしくない。何しろこっちは押し込み強盗同然のことをしているのだ。
 しばらく待っていると、男が干し肉と乾パンを盛った皿を持って戻って来た。
「剣を納めて座れ。おまえさんをどうこうするつもりは無いよ」
「悪いな。戦場帰りでちっとばかり気が立ってるんでな」
 ダリウスが剣を納めて椅子に座ると、男は対面の椅子に腰かけた。
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1話目(書き手マッシー)

 幅4メートルほどの清流で喉を潤した後、ダリウスは仰向けになって天を睨んだ。水色の空に薄く綿を伸ばしたような雲が掛かっている。
(生き延びた……)
 まる二日歩き続け、既に戦場からは遠く離れている。
 今渡った細い流れが中立国バルトニアとの国境になっているはずだ。残兵狩りも国境を越えてまでは追ってこない。
 ダリウスは仰向けに寝転がったまま剣を抜き、天にかざした。
「クソッタレ、兵隊など二度とやるものか」
 剣身を睨んだまま空に向かって悪態をつく。
 ひどい負け戦であった。
 開戦後しばらくして敵が後退を始め、自軍は一気に敵陣に攻め込んだ。
 が、罠であった。敵陣奥
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