リレー小説📖✏
●想像で物語を繋げていくリレー小説です。 ・書き出しの人は、まず『何ページ完結』にするか宣言してください。※四ページだったら→(1/4)のように。 ・皆で物語を繋げてください。※書き始めにページ数を
17PV40コメ

0/1000 文字

書き込み 38件

40・ 青大将

「!
雛ちゃんや!」

「ぶほっ!
急にでかい声出すなアホ!」

お内裏様が急に叫んだものですから、ジイちゃんはそりゃあもうびっくりしました。

しかしそこは流石友達、大阪育ちのG○ジョーらしく、早速御内裏様の相談に乗ってくれます。

「なあダイちゃん、その子なんて名前やねん?」

「…御雛様。ワイは雛ちゃんて呼んどった」

「…せやったな。
こら難儀やでホンマ」

ジイちゃんがそう言うのも無理はありません。なんせ御内裏様も御雛様も、日本全国津々浦々に星の数ほどいるのですから…

そこでジイちゃんは、発想を変えてみる事にしました。

「そういや自分、モグラに乗っかってナニワに来た言うとったな
39・ ハレアカラ
「あーあ、何だか私も旅に出たくなっちゃったわ!」

御雛様は扇子をパチンと閉じ、押し入れの隙間から外を覗いてみた。

女の子がリカちゃん人形で遊んでいるのが見える。

リカちゃんは、軽やかな服装を着せられて、髪も金髪、靴はハイヒールだ。


そんなリカちゃんを見た御雛様は
「私も色んな着物が着てみたいわ。髪型だって変えてみたい。新しい下駄も欲しいわ。」

と思った。

いつ戻って来るのかも分からない御内裏様。
テレパシーだって毎日感じるわけではないから、御雛様は寂しかった。

「こんな所にいたら鬱になるわ!私、ちょっと出かけて来る!イメチェンしてくるわ!御内裏様が帰ってきたらびっくりさせてやる
38・ ももーにゃ
(感じる…あの人が私のことを想っているのが…)

ここは御内裏様が飛び出した家。

遠く離れてしまった二人ですが、お雛様はテレパシー能力で御内裏様の気持ちを読み取っていました。
お雛様はあんまり暇すぎて、神の如き能力を手に入れていたのです。

「なんであんな放浪癖のある男を好きになっちまったのか…」

お雛様は悲しそうに天を仰ぎました。
しかし、目の前にはただただ暗闇が広がるばかり。


「シーズン終わりの雛人形の扱いなんざ、こんなもんですよ」

シケた顔をして、右大臣が呟きました。お雛様が何も言えずに黙っていると、左大臣も話しにのってきます。

「内裏の旦那が自由を求めたくなるのも、わからん
37・ 青大将

思わぬ形で、ホントにホントに思わぬ形でお内裏様が大阪の地を訪れてから既に数ヶ月。

いまではすっかり大阪に馴染んでいました。

「!
ほなダイちゃん、家出してる最中やったんか自分?」

「まあなジイちゃん」

「あほ!
その呼び方やめんかい!

G○ジョーは商品名や商品名!」

「あだっ!
種子島でどつくなアホ!
危ないやろ!」

「…これ火繩銃やのうてM16やで」

仲良しの友達も出来ました。

一昔前のアメリカ兵を模したG○ジョーです。

お互いにあほアホ言い合う割に仲の良いジイちゃん(本名はトーマスという設定らしい)にサバイバル技術と大阪弁を教わったお陰で、お内裏様は大阪の地に溶け込む
モグラたちの楽園である土の中は大賑わいでした。


「東京方面だって?それじゃあオサムに乗りな。オサムは静岡まで行くから、そこからは別のモグラを探して乗り換えるといい」


駅員風のモグラに言われた通り三番穴で待っていると、オサムと呼ばれるモグラが滑り込むように駅に入ってきました。
そのオサムは小さな目でお内裏様をしげしげと眺めてから言います。


「オッサン、横幅あるなぁ。まぁ引っかかりそうだったら穴を広くしてやるよ」

「……」


お内裏様は無言を貫きましたがオサムは気にする素振りもなく「発モグラオーライ」と鼻をひくひくさせながら言いました。
子モグラの美喜ちゃんが手を振りますが、オサム
35・ 青大将

…とは言え、お内裏様の旅は容易ではなさそうです。

なんせひな人形たちは、人間が誰も見ていない時にしか動いた事がないのですから。

しかも和装、歩きにくいことこの上ないのでした。

「し、しまった…

せめて牛車に乗って来るんだった…」

思わずそう呟いたお内裏様でしたが、今更ひな壇に戻るのも何だかシャクにさわります。

その時でした。

「おじちゃん、どこに行くの?」

庭に置いてある信楽焼のタヌキ前で一休みしていたお内裏様に、誰かが声をかけます。

「…」

「お兄ちゃんどこに行くの?」

「いやなにね、ちょっと東京まで」

お内裏様が初め無言だった理由は言うまでもありません。

なぜな
34・ NNG
第3回リレー小説 15話完結

タイトル「お内裏様の放浪記」




2013年、またしてもこの季節がやってきた。

私はまた、変な台に乗せられて、お雛様の横にいなくてはならない。

正直……やってらんねぇ~!!

"お内裏様とお雛様、二人並んですまし顔~♪"

仕事ですから!とツッコみたいが……


まぁまぁ、子ども相手に本気になる必要はない。

だが、今年はお雛様の横には行きたくない。押し入れの中から台座への往復だけの人生なんて、つまらない!

と言う事で私、旅に出ます。

そうだなぁ~……先ずは、東京から行ってみようか。

(1/15)
33・ 青大将
職人と書いて『プロ』と読む。

一度は白目を剥きながら卒倒するも、ガガへの接待を心配する余り哀川氏におぶさりながら翼或町銀座商店街へ赴いた翼或町町長を迎えたもの。

それは、予想を遥かに上回る人出と盛り上がり、そして翼内町町長の握手であった。

「私はあんたを見直したよ。それに比べて私達はなんて心が狭い事をやろうとしていたんだ…」

翼或町町長はてんで訳が分からない。すると翼内町町長は、答えの代わりに青空を指差した。そこにはこんな詩が浮かんでいる。


女は男のように強くなれる
それが私の道だから

男は女のように優しくなれる
あなたを暖かく包みたいから

敵も味方や友になれる
武器を棄てて思
32・ ももーにゃ
「ありが…とうございました?これでいいと?」
「イントネーションが違う!」

堤さん達が熱心に標準語の練習をしていると、既にイベントの開始時刻が迫ってきていた。
ステージから降りようとする三人。しかし、

「なっ…なんでこんな人混みになってるんだ」

ガガ様を見たい大勢の観客により、商店街は身動きできないほど混雑していた。
「早く降りないと我々を認識できる人間が何人も現れたら、大騒ぎに…おぉおお!!!!」
「真一しゃん!!!」

突然奇声をあげる真一。イベント開始の打ち上げ花火により、空高く舞い上がったのだ。

「ミナサン、コンニチワ~!」

同時に、割れんばかりの歓声と共に登場するガガ。

31・ NNG
よっく~君の爆発的人気の原因は、ガガのブログにあった。

よっく~君の着ぐるみを着ながら熱唱した動画がガガのブログにアップされ、その記事は瞬く間に国内だけでなく、世界の人々が目にした。

一方、堤さんと真一は今だ副町長と行動を共にしていた。

「なんだかんだ巻き込まれてるけど、私の目的は標準語を覚えないといけないんだ。」

堤さんは、深刻な表情をしながら思いの内を話した。

確かに、翼或町に来てからと言うもの、翔子に狙われ、真一と出会い、そこから派手な外国人と出会い、副町長とも出会い……

沢山の出会いは嬉しい事だが、ハプニングも付き物なのかと勘違いしてしまう程ハプニング続きだ。

「堤さん、
30・ 青大将

 現時点で判明している翼内町町長&副町長コンビと翼或町町長&副町長コンビとの決定的な違いは、行動時に指揮官先頭となっているか否かであろう。

それがヨナイ君グッズとよっくー君グッズとの売上差に直結しているかは定かでないものの、全く無関係とは言いきれないのではないだろうか。


「ふぅ…何でわざわざ電車なんだね副町長。潰れるかと思ったよ…」

苦笑しながら翼内町町長。二人が翼或電鉄にて翼或駅に降り立った時には、電車の乗車率が200%に達していたのである。

しかも乗客の大半…特に若年層は、まるで申し合わせたかのようによっくー君グッズを身につけていたのだ。

ガガ人気恐るべし。

29・ NNG
所変わって、ここは翼或町の隣町、翼内(よくない)町。

この町のイメージキャラクターのヨナイ君は全国的に有名で、ストラップやフィギュアまで存在する。

「町長!!たった今連絡がありまして……」

翼内町の副町長が慌ててやって来た。

「な、な、何だと!?あのガガがヨック~君のイベントを?

それはマズイ……非常にマズイ!

ヨナイ君の存在が危ないではないか!!」

翼内町の町長は、自分のデスクのまわりを落ち着きなく歩く。

「町長、いかがなさいますか?」


「よし、ガガと接触しよう。

君、英語出来たよね?」


「お任せください。」


この後、翼内町の町長と副町長は大袈裟に笑い、翼或町に
町長室のソファーにだらしなく座り、高級羊羹を口に入れるのは哀川だ。町長は向かい側から苦々しい気持ちを込めて哀川を睨みつけていた。


「そんな目で見られても。いいじゃないッスか、結果オーライっつーことで」

「良くない!私がトークショーを頼んだら一蹴したくせに、何故翔子はこの男の頼みは聞くんだ!」


翔子からガガの出演の了解を得たとの連絡をもらった哀川は、イケメン…と言えなくもないしたり顔で翔子の父である町長に報告したのである。


「ま、イベントは成功してよっく~君も一躍有名になるでしょ。ガガだし。良かったッスね、自分の娘の男が使えるヤツで」


あんたは使えないけど。
そう言っているんだ
27・ 青大将

その頃副町長は、未だ職場…翼或町役場の屋上に在った。

「…という訳なんだよ」

「話は分かったばい。

…今から町長ばくらして(殴って)来ちゃるばい!」

元々赤い顔を更に赤くさせながら提さん。

義理人情に厚くそして熱い提さんの事である。

いつしか日頃の愚痴と化していた副町長の話を聞くうちに、副町長に無理難題を押し付ける町長に文句の一つも言いたくなったに違いなかった。だが…

「待ちなよ兄弟。兄弟がそんな事をしてみな、副町長さんクビになっちまうぜい?」

気持ちは分かるが…といいたげな表情で真一。そして言葉を続ける。

「兄弟、どうせ熱くなるならこんなのはどうだい?

…ごにょごにょ…
26・ ハレアカラ
「ワタシ、コノナカニ、ハイッテミタイネー!」

「え!?こんな不気味な着ぐるみに入りたいですって!?」

「YES!」

ガガは翔子の手から着ぐるみを奪い取ると、すぐに被ってみせた。

そして、おしぼり片手に即興で歌いだした。

タイトルは【Yabureta Face】だという。


小さな寿司屋は、ガガの迫力のある美しい歌声で埋めつくされた。


「ふぅ・・・ガガ自ら被ってくれて良かったわ・・・。これで何とかなりそうね」


翔子はそう呟いて、バッグから携帯を取り出し、哀川へメールを送った。

『あなたの作った犬のフンは、ダイヤになれそうよ』


ガガの熱唱している姿も添付して送信ボタンを押
25・ ぼんの
「オー! フジヤマ、ゲイシャ、スシー!」

その外国人女性は、目の前に現れる寿司を次々と口に放り込んでいく。

カウンター席の隣に座る翔子は、その豪快な食べっぷりを呆れ気味に眺めている。

できるだけ地味な服装で来てくれと頼んでおいた。

が、このべティー・ガガという世界的スターには、常識という観念が欠如しているのであろうか。

なんと、中年オヤジが着るようなジャージの上下で現れたのである。

薄汚いジャージと類い稀なる美貌のギャップ……。

それは地味であるどころか、妖しげな光彩を放っていた。

「ショーコ、チョーチンガ、イッテタヨ、ゼロセンガ、ダマッテナイッテ」

「零戦?」

ガガの意味
24・ 青大将

「真一しゃん…もうGHQ(進駐軍最高司令部)のモンが来たと?」

フリーズから立ち直りつつ提さん。

提さんの天然ぶりに、副町長さんはもちろん提灯仲間の真一も思わず吹き出していた。

「いや、彼女はあのペティー・ガガなんだけど…」

「???
ペティー・ガガ!?
進駐軍の将校やなかったとか真一しゃん?」

「あんたなぁ…」

この時真一は、提さんにはまず現代日本の常識を教えなければ、話がこんがらがる一方だと痛感していた。

それを知ってか知らずか、提さんはペティー・ガガに

的外れなようでいて意外に鋭いこと

…を聞き返す。

しかも、武将(たけまさ)から教わった流暢な英語で!!

「(英)
 
「先生、お電話ですぅ~」

「また!?無理。今、手を止めたら間に合わない」

「…もう既に間に合ってな…ヒッ!」


翔子はそう零す編集者を力の限り睨むと、編集者は再び失禁しながら倒れた。
私だって横になりたいのに、と、のんきに倒れている編集者に苛立ちが募る。


「あの…哀川さんという方からなんですが…」


アシスタントのその言葉に、翔子はペンを止めた。

哀川。
イケメン…と言えなくもない彼は翔子の彼氏である。

その哀川は昨日、翔子に電話で言い放ったのだ。

『お前の干物女っぷりは激しいぞ。少しはお前の友人のペティー・ガガを見習え』と。

思い出すと頭に血が上る。その勢いに任せてア
22・ ぼんの
「どうするつもりだね!」

町長室に、町長の悲鳴のような怒声が響き渡った。

「落ち着いて下さいよ、お義父さん」

テーブルを挟んでソファーに悠然と座った男が、煙草をくゆらせながらせせら笑った。

「き、君にお義父さんなどと呼ばれたくないぞ! 今さら!」

町長は、男に掴みかからんばかりの勢いで叫んだ。

へへへ、と男は唇の端を歪めて笑っている。

男の名は、哀川龍。

キャラクターグッズ制作を請け負う会社の社長だ。

とは言え、社員など居ない。

デザインや制作は全て外注という、ブローカー商法まがいの怪しげな会社である。

「あぁ~、何故よっくー君の制作を、君なんかに依頼したんだろう……」

21・ NNG
そんな様子を陰で見ていた者がいた。

その人物はどうやらお忍びで翼或町へとやって来たようだ。

テレビで見る姿と変わらず、とても斬新なスタイル。

これじゃすぐバレそうな感じもするが、意外とバレないらしい。

そう、この人物とは世界でその名を知らない者は少ないだろう。

"ぺティー・ガガ"だ。

ガガは、w提灯が何やら喋っている事に気付き、物陰から興味津々に見ていた。

だが、どうにも我慢出来ず片言の日本語で彼らに話しかけたのだった。

「アー、コンニチワ。

アー、チョウチン、シャベル?スゴイネ!!

アー、チョット、サワッテモイイデスカ?」

急に現れた外国人に副所長は
20・ 青大将

渡りに舟。

提さんの偽らざる心境であろう。

疲れきっている上に瞳孔が開いたようにしか見えない人物…翼或町の副町長さんは、九十九神に対する偏見を持っていない!(ように見える)

次の瞬間提さんは叫んでいた。

「ちょうどよかばい!
先ずは油紙と糊ば分けてほしかとよ!

仲間がグラマン(グラマンF6Fヘルキャット。戦時中の米軍艦載機)の機銃掃射にやられたばい!」

義理人情に厚い提さん。真一の怪我を治したいようだ。

翔子はまさか自分が、戦時中の米軍戦闘機に間違えられているとは夢にも思わないに違いない。

やがて訳も分からぬまま頼まれたものを持って来てくれた副町長から油紙と糊を受け取ると、提
副町長は職場の屋上のベンチで全力でうなだれていた。

町長は働かず無茶ばかりを言い自分に全てを押し付ける。
今日の翼或町銀座商店街のイベントだって、町長の思い付きで一昨日急に決まったのだ。

そんな迷惑町長の発案には、当たり前のように協力してくれる商店はごく僅かだし、宣伝の時間もないため客だって少ない。

更にはよっく~君を売り込めときたもんだ。

無理に決まっている。
何てったって、あのキャラには愛される要素がない。


「…駄目だ…何も浮かばない」


そう呟いた副町長の耳に、破れただの穴が開いただのと、何やら騒がしい声が届いた。

副町長が視線を巡らすと…そこには二体の空飛ぶ提灯。


18・ ハレアカラ
「ちっ!見失ったわ!今度こそ捕まえてやろうと思ったのに」
翔子の右手に握り締められていたペンが、バキッと音を立てて折れた。

と、その時。
「先生、お電話です~」
編集者の吉村が子機を持って翔子の目の前にやってきた。

翔子はイライラしながら「こんな時に誰よ!」と言った。

「それが・・・副町長さんからなんです。なんでも今日の商店街のイベントで、よっく~君とのトークショーをお願いしたいとのことなのですが。あとサイン会も・・・」

「ハァ!?冗談じゃないわ!そんな暇どこにあるっていうの。それに、あんな野暮キャラとコラボだなんて、死んだほうがマシよ!」

「では、お断りいたしましょうか・・・」


17・ NNG
「チッキンラーメン食べったくって~♪っと……ヒック……ヒック……あぁ~…」

どうやら酔っぱらいのようだ。

千鳥足と言うのか、千鳥ジャンプと言う方が正しいのか……

堤さんと同じような提灯が酒の力によって上機嫌に歌いながら跳び跳ねている。

彼は翼或で有名なオバケ提灯。その名も"真一"

「あれ?あれれ?あそこに居るのは……」

真一は堤さんの存在に気付き近付いた。

「あんたもオバケ提灯かい?

あっ!?ヤバイ!ちょっとこっち来な!」

真一は堤さんに話し掛けたが嫌な視線を感じ堤さんをその場所から遠ざけた。酔っぱらっているとは思えない素早さだ。

堤さんは何の事やらサッ
16・ ぼんの
すさまじい勢いでペンが走る。

ペンを走らせているのは星翔子……

その気性の荒らさから「カミソリ翔子」と、一部の編集者から恐れられている漫画家だ。

翼或駅前に屹立する20階建ての分譲マンションが、翔子の仕事場である。

4LDKの広壮な空間は、〆切直前の異様な緊迫感がみなぎっていた。

翔子の、美人……と言えなくもない顔は、鬼神の形相だ。

四人のアシスタントたちも、翔子の発する鬼気に圧迫され、失禁寸前だった。

「先生~、あと一時間でデッドですぅ~」

漫画誌ライジング・サンの編集者、吉村が怖じ怖じと震える声で翔子に声をかける。

「分かってるわよ! インポ野郎!」

カミソリ翔子の咆哮
15・ ももーにゃ
ところ変わって、ここは翼或町町長室。

大きなため息を吐いて町長が見つめる先には、くたびれた着ぐるみが置いてある。

「どうしたものか…」

全国のご当地ゆるキャラブームに便乗して、数年前に翼或町でもよっく~君なるキャラを考え出した。

しかし…

まったくもって人気がでないのだ。

翼或町の特産である木材をイメージした胴体部分と、鳩の頭と手足。

センスが感じられないどころか、そこはかとなく不気味さが漂っている。

「よっく~君ストラップもよっく~君マグカップも在庫が有り余っている。税金の無駄遣いだと町民から苦情がきてしまうな…」

すると、机の前に立っている副町長が口を開いた。

「とりあ
14・ 青大将

リレー小説第二回

タイトル

『赤ちょうちん街を行く!』

20ページにて完結。



ここは翼或(よくある)町。名前の通りよくある町である。あいつが翼或町銀座商店街の通りを堂々と歩いて、否、堂々と飛び跳ねてやって来るまでは!

「お国言葉ん武者修行とは、梨菜ちゃんも面白かこつば考えたもんばい」

博多弁も逞しく、翼或町銀座商店街を文字通り飛び跳ねながら進むあいつ…

赤い小田原提灯の九十九神。人呼んで堤さん。

不思議な事に、堤さんの存在を気に留める者は今のところいなかった。

堤さんは九十九神。

親友兼相棒の某仙女程ではないが神通力を使える。

大概の者から見れば、いくら堤さんが
13・ ハレアカラ
ソリが屋上に着陸した途端、上空で輸送機が爆発した。

男は不敵な笑みを浮かべていた。

その顔を見たオッサンがアッと大声を出した。

「お前、5年前のサンタ採用試験の2次面接にいたな?」

「今頃気づいたか。あの時はよくも落としてくれたな。真面目に生きてきた俺の様な人間がサンタになれず、こんな奴がサンタなんて。だから滅茶苦茶にしてやったのさ」


その時、空から鈴城夫妻のパラシュートが降りてきた。

梨緒の手にはプレゼントが一つ、大切そうに抱えられている。

「これはあなたのプレゼントです」梨緒は男にプレゼントを渡した。

男は梨緒の優しさに胸を打たれ、初めて貰うプレゼントに涙を流した。


「…なんだぁ?誰か鈴城夫妻の邪魔してるぞ。いいのか?」


オッサンは無精髭をさすりながら空を見上げた。
対してサンタクロースはとあるビルの屋上をじっと見やる。


「…結局俺も働かなきゃなんねぇのか」

「当たり前だろう。サンタクロースなんだから」


オッサンにたしなめられるとサンタクロースはめんどくさそうに指笛を吹いた。

刹那。
サンタクロースとオッサンの目前に立派な角のトナカイが現れる。


「反省したのか、クソサンタ」


トナカイは悪態をつきながらサンタクロースの隣に座るチャンチャンコのオッサンに視線を滑らせ、その目を見開いた。


「…先代」

「よぅ、トナカイ。相変わらず鼻が
10・ 桜見ひより
機体から巨大虫採り網を生やし、軽やかな飛行でプレゼントを回収していくDC-3の様子を、ビルの屋上から眺める男がいた。


「くーらーいー夜道はー、ぴ・か・ぴ・か・のー」


歌に相応しくない低いトーンで歌詞を口ずさむ彼は、傍らに立て掛けていた鈍い艶を放つカーキ色のそれを右肩に担ぎ、構えた。
照準を適当に合わせ、


「受け取れ」







「!」

慌ただしくも和やかだった操縦席に警告音が鳴り響く。
とっさに仙式電探を確認し、梨緒は声を上げた。


「凄い速さで何か来ます!武将さん、面舵いっ――」
「衝撃に備えろ」


武将は冷静にそれだけ言って舵を切る。
何故かは知らねど、経験上それが何

/2ページ

38件