【殴書】冒頭から物語は始まる。
当たり前ですが、一番最初に読まれる箇所が冒頭になります。 そこを読んで購入を決める方も沢山いらっしゃいますから、練習しましょって場所が此処です。
2PV7コメ

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7・ 澪月詩苑
 ――総て、オワル。

 例えば道端の草は灰色に変わるし、歩く人の影は浜辺の砂が流される様にアスファルトに溶けた。
 陽炎だとか蜃気楼だとか、幻だとか夢だとかそんな簡単な物じゃなかった。ある意味では、複雑でも無かった。概念とかじゃなく、現実そのものが蕩けてしまって居るのだから。
 唯ひとつ、例外が有るとするなら――それは、私の確固たる意識それだけな様に思えた。

 今年の夏、現実の崩壊が始まった季節だ。空はまだ、其処に居てくれるだろうか。
 私は、天を仰ぎながら言った。それこそ、譫言の様に言った。むしろ、戯れ言だろうか?
 ――そうだ、そうに違いない。もう、彼という存在も溶けて消えた。いや、溶
6・ ゆきみ
声が聞こえるんだ。
ずっとずっと耳許で、いつも僕が何かをする度に声が聞こえる。
時には優しく残酷に時には辛く幸せそうに、あるいは脳髄を溶かす様に甘くあるいは脳髄に染み渡る様に厳しく。
まるで僕の行動を応援したり咎めたりする声の正体は最後までわからなかった。
わからないまま消えていった。
言の葉は音にすれば一瞬で消えてなくなる。
だけど言霊は残り続けるのだろう。
世界に、人の心の中に。

だけど僕にはもう、あの声は聞こえない。

心の中にあったはずの言霊すらも一握の砂の様にさらさら手から溢れていった。

僕にはもう、あの声は聞こえない。


※折角なので遊びで書きまし(殴
下手で申し訳ありません
5・ 青川いい
 いなかの、ただ淋しいだけの道をかえるが歩いております。まずまず伸びた田んぼからあがって、夜のまっくらのなかを。かえるは一匹だったのです。ついさっきはいよいよという勢いで鳴いておりましたが、冷めてしまいました。かえるは降ってついた知恵によって、こう鳴いていてもまず仕方がない、とひらめいたのです。
 そうして今ぺたぺた歩きながら、寿命を巻きもどすように考えばかりは走らせてゆきます。
4・ 澪月詩苑
 足が棒の様だ、僕の心はポッキリと砕けて無くなってしまいそうだ。今にも、後ろから追い掛けてくる誰かが、いや何かも分からない“ナニカ”が、僕を脚からパックリと飲み込もうとして追い掛けてくる。
 雨に濡れた電波塔、紫に霞んだ景色を僕は駆け上がった。息が辛い、脚が重い、足腰が痛い、そして何よりも足場が悪い。
 ハレーションする視界の中、僕の足音よりもやたら五月蝿いガタガタとした怪音が、まさしく僕を責め立てる様にして近付いてきていた。四本脚でも無い、音の数は指では足りない。20、40、80の足音がドタドタと僕を追い掛けてくるのだ。
(狂っている……!)
 僕は、短い人生の何時よりも生きたいと願っていた
3・ 青川いい
 
「たいへん、
 たいへん!
 おくれちゃうわ」
 
あわてんぼうの マリーは、
もりの こみちを はしって います。
 
 
 以上『マリーのみどりのうみ』って作品の冒頭で、練習ではありませんけど。
三人日さんのHowToへの投稿を読んで、走っていたなあって思ったので。
2・ 澪月詩苑
「ボク1人の命ひとつで、何人何百人を殺しても償えるって変だね」

 そう呟いて、隣に座った悪魔は笑った。塩素で赤茶けた黒髪、腰まで夜を羽織った少女が囁く。ハイトーンのソプラノボイスが、俺の耳を擽り、こそばゆさと気色悪さとを残して流れる。

「不思議じゃなあい? 死ねと言ったり生きろと言ったり、殺してみたり生殺してみたり」

 パタン、彼女が膝上の哲学書を開き広げた。俺の雑誌が、窮屈そうに身をよじり始める。

「償うなら、罰を受けるなら……殺しても、良いよね?」

「――違う!!」

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