ミルカは今日も眠らない

天使たちが導くいのちの無くなった星。その星を去ろうとした時、一人の天使が「まだひとつだけ魂がある」と残ることを決めた。

異世界へようこそ！

図書館で気になる本を借り、あたしはさっそくその本を読むことにした。読み進めていくと突然本の主人公から話しかけられて……

あなたに会いたい

一人暮らしをしている俺の部屋に、女の長い髪が落ちている。毎日欠かさず落ちているその髪を、俺は集めはじめた。

タダイマ

大切にしていたインコのハナが逃げてしまった。もう無理かと諦めた頃、玄関のチャイムが鳴り響いた。

まちいのじゆうちょう

たまに更新するエッセイもどき

大樹の子守歌

山深くにそびえる大樹の洞に老婆がひとり捨てられた。老婆は己を捨てた息子を案じ、子守歌を口ずさんだ。

苔丸

ひとり者の爺に「苔丸」と名前をつけられ、「それ」は淡い自我を得た。

けんじへ

自動販売機の下を覗いてまで小銭を貯めていた隣人のおっさん。入院したおっさんは俺に「この貯金箱をけんじに届けてくれ」と言う

雨上がりの相合傘

降り出したゲリラ豪雨。そして傘を持たない瑞樹先輩。行くなら今だ、勇気を振り絞って相合傘に誘え、あたし。

罪に落ちた白い雪

白く美しい親友の初めての罪に、俺はなった。

世界の果てまで僕らは逃げた

この国も戦争が「できる」ようになってしまった。僕らは戦場に向かうのを拒み、逃げ出した。

凪と美梨

手を触れるのを躊躇ってしまうくらいには、凪のことが好き。だからせめて、私は凪の影に手を伸ばす。

セイレーンのアリア

旅行先で出会った海の伝説、セイレーン。耳の聞こえない海里に興味を持ったセイレーンは、海里に懐いてともに暮らすようになった

海の桜と陸の桜

僕がほんとうは人魚だと知ったら、君はどんな顔をする？

弟の訪問

都内に引っ越した私の部屋に、歳の離れた可愛い弟がやって来た。

はじめまして、ぼくポポくん。

エイプリルフールに興味を持ち始めた娘のミナ。私はぬいぐるみのポポくんがしゃべる、という嘘をつくことにした。

海の底の桜

私、海の底で桜を見たことがあるの。そう言うと夫はそれはきっと夢だよ、と否定するのだった。

数億数百万年後のオパール

雪だるまレター

雪ばかりの田舎から都会へ引っ越すと言った時、幼馴染みの大也は「雪だるまを送る」と言ってくれた。

瓶詰虫

翅をふるわせて鳴く虫を、一匹ずつ小瓶に詰めた。

父のほかほかホッカイロ

父が貸してくれた上着のポケットには、父の優しさが入っていた。

真冬の花見酒

酔っぱらって歩く真冬の帰り道、桜が一輪咲いているのを見つけた。

妖精のドレス

人形師をしているある若者のもとに、妖精がやってきました。「あなたに私のドレスを作ってほしいの」

ミューズ

一斉に活性化しはじめた各地の火山。この現代社会で一体どんな託宣が下されたというのか、僕の妻が人柱に選ばれた。

龍の養い子

十年前に神隠しにあった兄が突然私の前に現れた。「僕はあちらで龍の子どもになったよ」と、優しく笑う。

すみれノート

登校途中で小型犬の幽霊に出くわした。犬はどうやら僕に用があるようでーー。

タイムマシンのライカ

ねぇライカ、君は宇宙になんて行かなくていい。

ヤサカとチハヤ

子鬼のヤサカと、人間のチハヤ。恐れもせずに慕ってくるチハヤを鬱陶しく思うヤサカだったがーー。

死体の君の手を取り僕はダンスを踊る

僕が君の墓を暴くから、どうか君は僕を恨んで化けて出てきて。

月の恋人

平凡な会社員でしかないはずの私。けれど夢の中、私のために月の牢獄に囚われている青年と出逢う――。