耕して天に至る

移ろい消えてゆく、田舎の風景

あなた

もう届かない旋律を、あなたに贈り続ける

少しだけ、甘い香りを添えて

あなたと過ごす一日

今日はあなたのことだけを考えていい日

落ちる花　夢の名残り

木蓮の散り様は　桜のように美しくもなければ椿のように潔くもない　ただ草臥れて無様に落ちる

雨の日の恋人

雨が降ると、私は好きなひとに会いに行く。

熱

ちゃんと目を開けて、お前を抱いてるのが俺だってことを見とけよ

不還

海月はまちがえた。もう、戻れないーー

桐島さんはうそつき

お互い興味なんてないけど、なんとなく一緒に歩く

氷雪の花

我に会うたことは誰にも話してはならぬ。決してーー

神様拾いました。

うちにいる蛇は、どうやら神様みたいです。

おくりもの

ねえ。喜んでくれる？

ねがいごと

どうか神様

たそがれのいろ

黄昏の魔法は、いつか醒める

隠しごと

清算には、それなりの対価を

羽化

見たことのない空を

地縛霊はじめました

気がついたらはじまっちゃってたの！

蝉時雨

蝉時雨の降るなかを、あの日の忘れ物をとりに行く

カーテンコール

あなたを悼む、最後の五分

星継ぎの丘

何ものに代えても、守りたいもの

雨のあいだ

雨が隠してくれるから

後悔

無花果は、今年も後悔と父の笑顔を連れてくる

あなたを選んだ理由

甘い香りに誘われて

花はつぼみ

お菓子を作る女の子のきもち。食べる男の子のきもち。

写真

私が欲しいのは、あなたの笑顔

どっち？

ねえねえ。どっち？

異形の娘

そのバケモノは、どこまでも無垢で美しい

ゆびさき

出来立ての恋は、まだぎこちない

花散る頃に

妻の為に、私は微笑むことしか出来ない