@りかりー:『片割れの恋』 妹は明るく人付き合いが上手で笑顔が可愛い。 引っ込み思案で人見知りのわたしは同じ顔をしていても可愛いと言われたこともない。 わたしと妹は、同じ遺伝子を持つ双子。 それなのに性格は全く違う。 「かおりちゃん可愛いよなぁ。彼氏いるのかなぁ?」 「今はいないって言ってたっけ。俺、立候補しよっかな」 「おい、抜け駆けすんなよな」 クラスの男子が窓辺に集まって妹を見下ろしてる。 ほら、妹はみんなの視線に気づいてこっちに向かって笑って手を振ってる。 それを見てたわたしとも目が合って慌てて目を逸らす。 「おまえの妹、すげー人気だな。ファンクラブまであるんだって?」 隣に立って窓枠に手をつき外を見下ろしたのは、成績優秀、運動神経抜群、学校一のイケメンで───わたしの天敵だ。 天敵である樹は、幼い頃からの腐れ縁で、事あるごとにわたしをからかい、それを生き甲斐としている。 「おーお、ありゃ告白タイムかな?」 窓の外を眺めながら樹はそう呟いた。 「告白されてもかおりは断るよ。好きな人いるもん」 「へえ、好きな人いるんだ。ふーん」 妹の好きな人はわたしの目の前にいるわたしの天敵の樹だ。 樹はちらっと周りを見ると、口の端を上げわたしの耳に息を吹き掛けた。 バッと耳を押さえる。 「うさこの本当の姿をみんなが知ったら驚くよな。髪をほどいてメガネをはずせば妹よりも可愛いってこと」 「!!」 「バラそう、かなー」 熱くなった耳をペロリとなぶられた。 髪を一房掬い取られてくるくるする。 これだから樹は。 「わたしはひとりがいいの。もうあんな思いはたくさんだもの」 「……それは、見る目のない男を選んだからだろ」 そう。 わたしを好きだって言ってくれた人は、妹に心変わりをした。過去の事だけど、わたしは深く傷ついた。 あの時、樹がそばにいて泣いてるわたしをずっと抱き締めて慰めてくれた。 それは、樹に感謝はするけれど…… なぜにフラれた直後から距離感が近いのか。 「おまえ、まだ……あいつのこと……」 「え?」 「……なんでもない」 髪を弄ったまま樹はわたしから目を反らした。 ひとりでいるのが当たり前になってたある日。 突然、わたしの前に高級車が停まり、後部座席からひとりの男性が降りてきた。 「俺と付き合ってくれないか?」 わたしは頭の中が真っ白になった─
うさこ
ありがとうございます うさこ幸せになるんだぞ りかりー先生大好きです💖
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