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「Sクラスの勝ちです」
その言葉を聞いて、不服を感じた。
自分が出したものとSクラスの出した物では勝てない気がしていた。
でも、一瞬見ただけで即決できる程の差は無いように思っていたから。
Sクラスが出した宝石と比べると、形はほぼ同じで、綺麗にカットされたダイヤモンドのような形だ。
そして自分の出した宝石より、Sクラスの方が絶対に透明度は高い。
でも……お題の『輝き』は自分の方があるように見えた。
これは気のせいなんだろうか。
負けて悔しいという思いからそう見えているだけ?
どちらにしても、もう結果が出てしまったんだ。
私のせいでクラスメイトの姿を親御さんに見せれなくなったし、プレミアムの食べ放題も叶わなくなってしまった。
「……そして2位はFクラスになります」
あぁ……悔しい。本当に……。
前までの私なら2位でも十分だと思ってしまいそうなのに……。
今回は優勝を狙えそうだっただけに、本当に悔しい。
そう思い奥歯を噛み締めると、スピーカーから「待ってください」と年配の声が飛んで来た。
歓声が上がっていたグランドが、その声に一瞬で静まり返る。
テントの方に首を振ると、審査委員会の会長が手を上げている様子が映った。
「その宝石、私に審査させてください」
「え?審査?……なんで?」
目の前のクリフおじさんは、キョトンとした顔でマヌケな声を出した。
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