990人が本棚に入れています
本棚に追加
/319ページ
「君たちはどうして、ここにいるの? なぜ苦しいの?」
冬弥は優しく、その子に問いかける。
瞬間、脳裏を流れていく映像と単語の数々。
災害。
飢饉。
疫病。
因習。
人柱。
ああ、そうか。
そうだったんだね。
君たちは、犠牲になった子どもたちだったんだ。
本来、生け贄になった者は村のために人柱になったということで、丁寧に神のように祀る。だが、この子たちはそうではなかった。
そのせいで、きちんと浄化されていないのだ。だから、今でもこうして苦しみ、救いを求め生きる者に訴えかけ続けている。
慰めにと置かれた数々の地蔵も、形ばかりで意味がないものであった。
冬弥の目から涙が落ちる。
かわいそうに……つらかったね。まだこんなに小さいのに。
そして、僕たちのためにありがとう。
なのに、何もしてあげられなくてごめんね。僕には、君たちを安らかな場所へ導ける力はないんだ。
その時、手に握っていたピアスがかすかに光った。
そのピアスは龍樹が特別な力を込めたもの。
最初のコメントを投稿しよう!