神楽 佐官

本作は『王様ゲーム』と類似点がある。 『メディアが人を支配する』というテーマを含んでいる。 というか、はっきり言ってしまうと、 『メディアの情報の発信者こそが支配者になれる』 という部分が一緒なのだ。 『王様ゲーム』は携帯。『MASSIVE DRIVE』ゲーム。道具が違うだけ。 ―――― これですね。 いや、突然口調がかわって申し訳ないんですが。 読んでいてなにか違和感というか、なんかキャラがおかしいな~って感じたんですよ。 最後まで読んで、その疑問が氷解しました。 主人公の葛城姫子は普通の女の子。 勉強できない。恋をしている。が、まだ片想い状態。 人間というのは危険を察知する本能というのを持っている。 姫子にも備わっている。 しかし、『叛逆のデスペラード』というゲームに深く没入しすぎたために『何か』がおかしくなっていくわけで……。 これは主人公が個性のない普通の女の子というのも、一つのキーワードだと思います。 洗脳は未熟な脳ほど有効に効く。 言葉をかえれば馬鹿ほど騙しやす……おっと、誰か来たようだ。 ―――― 驚いたのがゲームについての描写とかえらくリアルです。 私も課金ゲーム、カードゲームですが多少やってました。もうその会社潰れてしまいましたけど。 作者さまもゲーマーだったとしたら、個人的にすごく『同志だなぁ』と一方的な愛着を感じてしまいます。 ―――― この小説、ネットの『絆』についても愛着をもって書かれています。 顔も見えないけど存在する『絆』を、光姫さんが心をこめて書いているのがこの小説に深みを与えているのでしょう。 そしてこの小説は『手作り感』があります。 仲間に、これ書いたけどどう思うって感じですよね。敵チームの名前とかもそうですし。 エブリスタだからこそできるもの、というのを意識されて書かれたのだろうと思います。 ―――― こういうジャンルの小説をエブリスタでいくつか読ませていただきましたが。 こういうの書けば売れるだろうという『大人の欲』が透けてみえることがあります。 もちろんケータイ小説で大儲けたくらむこと自体は問題ないのですが。 無論、この小説も書かれた光姫さんも、売れたいという願望をお持ちかもしれません。 ですが、その『大人の欲』をこえた『心』がこの小説に込められているような気がします。
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ご丁寧なレビューありがとうございます! この作品を手に取ってくださったこと、並びに最後まで読んでくださったことにも深く感謝致します。 ご考察の通り、この作品には僕の目一杯の想いとほんのちょびっとだけの打算が含まれています(笑) ヴァーチャルの持つ手軽さと儚さ、そして脆さ。しかし人と人が関わる以上、確実にそこに存在する思いやりと仲間意識。 そんなアンバランスな世界を、この作品を通じてご堪能頂けたのならとても嬉しいです。 まぁ、実際に書いてる時はそんな小難しいことは考えていませんでしたけどね。ふふ。後付後付。 何はともあれありがとうございました! これを励みに頑張って参ります!
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