美森 萠

遅ればせながら『あいのかなで』完結おめでとうございます。 正直言って、今の私にこの作品にふさわしい言葉を綴ることができるのか自信はありませんが、それでも私はこの作品に言葉を残したいと思った。拙いレビューになることをどうかお許しください。 この作品には『恋』と『夢』という大きな二本の柱があり、見所も決して一つではないのですが、私がより深く惹きつけられたのは、ヒロインである奏とその親友である亜矢の対比と彼女たちが真摯に音楽に向き合う姿でした。 皆さんレビューでもおっしゃっていますが、この作品には色彩が溢れている。 彼女たちが奏でる音楽に、物語の重要な鍵となる晴臣が描く絵画に。優輝さんが紡ぐ言葉の端々から鮮やかな色彩が舞い、読み手を優しく包み込む風が踊ります。 彼女たちも、また然り。ただ音楽のためだけに生きてきて、それ以外の世界を知らない奏はまっさらな白。一方亜矢は奏とは違い、挫折や嫉妬など醜い感情とも向き合ってきた。自分でもよくないとわかりながらも、それでも暗い深みに嵌って行く彼女はまさに黒。当初、私にはそう映りました。 奏は恋を知らないが故に、一方の亜矢は恋をしているが故に、思うように歌を歌うことができなくなり、ほぼ同時期にスランプに陥ります。 同じ悩みを抱えながら、それを克服していく過程や、彼女たちから受ける印象は何故こうも違うのか。そこに作者の意図があるのは間違いないのでしょうが、全く違う性質を持つ彼女たちが、それぞれに行きつ戻りつしながらも、困難を克服していく姿は大変読み応えがあり、私は彼女たちが抱える感情に今の自分自身を重ねてしまいました。 結局、奏は他者と関わり自分を見つめなおすことで、亜矢は他者との関わりを断ち、自分ととことん向き合うことでそれぞれの歌を取り戻します。 ラストシーンで彼女たちが得たそれぞれの『色』は一体どんなものなのか。それはきっと、私が作品の冒頭で感じた無機質な白でも黒でもなく、彼女たちの声を聴いた者全ての心を捉えて離さない、唯一無二の色なのでしょう。 最後に。 表現することの難しさを描いたこの作品は、今現在立ち止まっている私に一筋の希望をもたらしました。 優しい強さを持つ彼女たちに作者の姿を重ねつつ、自分もそうありたいと願いつつ、この作品に出逢えたことに心から感謝したいと思います。 優輝さん、心に残る作品をありがとう。お疲れ様でした!
9件・1件
美森さん、レビューありがとうございます。 最初に【拙いレビュー】という所を全力で否定させてください。 僕には作品を通して欲しい物が4つありました。3つは手に入りました。最後の1つが、今揃いました。 家に帰るまで待ちきれなくてコンビニの駐車場で読ませてもらいました。車の窓も開いてるのに号泣(どうしてくれるんじゃ)。 みもりん。熱のこもったレビューを本当にありがとう。 レビューを読めば読むほど、みもりんがどれだけ深く本気でこの作品と向き合ってくれたのかが伝わってきます。 もらっておいてこんなことを言うのは変なんだけど、レビューで嫉妬させるクリエなんてそうそういないですよ。みもりんの読み手としての
7件

/1ページ

1件