9×9=81

オンライン系ファンタジーを書くべく勉強のつもりで読みました。 更新分まで読んだので勉強になったお礼も含めて総評を。 現実世界が破滅に迫る中、最高の遊び場という”ノアの方舟”に乗った家族。もはや解脱という形で電子世界に入り込み、ようやくその生活に慣れようとしていたとき、思わぬ悲劇が起こる。まさに法則を超越してしまった連中に家族を殺されたセツナとハルカ。同じ目的をもって旅をする少年少女だが、度重なる出会いによって思惑が一つになるようで、すれ違っていくようで……。 おそらく市場で出回るMMORPGやゲーム系のタイプを除けば、エブリスタで初めて見る仮想世界のファンタジーですが、仮想世界に人を入れる設定と経緯を読んで、ちょっとした発想の逆転を知りました。 かなり主題を詰め込んだ作品にも思えますが、共通して言えるのは「仮想と現実の間に生まれた真偽」。 特にメインイベントである、主人公とヒロインの仲睦まじいシーン。歯が溶けるかと思うくらい甘ったるいのですが、ちょくちょく出てくる「現実との違い」。主人公やヒロインは互いの思いのぬくもりを感じているのに、それが所詮はデジタル化された肉体という壁を経て感じた偽物。ああ、こんなに近くにいるのに、結局触れるのは1と0でできた偽の体。切ないですな。 ゲームと現実は違う、その常識を覆そうとする混合した世界。すべては電子と情報で組まれた虚構。だが、引き起こされた死は現実。この物語の進む先に待っている終わりは「真実」にたどり着くか、「疑似」のままになるのか。 元の世界がすでに壮絶となっているだけ、どんな結末になるのか、非常に気になります。それから、何度も申し上げますが、ちょっと文章力と発想力に嫉妬してしまいそうなほど本当に勉強になりました。 ありがとうございます。
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大変勿体ないレビュー恐縮です。いつもご愛読本当にありがとうございます。ここまでのページ数をそれほど真剣な目で読んでくださったことがまず何よりの宝です。 まさしく僕が書きたかったことを捉えてくださっていて嬉しく思います。エンディングには自信のある作品ですので、是非最後までお付き合いいただきたいです。

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