シヴ

「では、それを確定する物語を僕達が始めよう」 その中の内、一人の少年がノートにペンを走らせる。 . . . 「俺は……待ってんだよ」 石造りの城の最奥部。薄暗い大広間の後方にぽつんと置いてある豪奢な椅子の上で足を組み、肘掛けに右肘をついて配達員姿の青年は呟いた。 左手にはペン、それとノートが手と肘掛けの間に挟まれている。 「俺はここにいる。さっさと来いよ、悟猿、仁花」 水白州。いや、魔王は紡ぐ。仁花と悟猿が自分の元へ辿り着く空想を。 この世界の二人が自分の元へ来るのをじっと待ちながら。 ────────── 受け継がれる襷 第二章「魔王の散文」

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