「つまり…?」 1人の少女が頭のおかしい人を見る目で真意を問う。 「こんな話を知っていますか…? ホームズはワトソンの風采を見ただけで変人だと推理できたと!」 「変人じゃなくて軍人ね」 とある少年のツッコミを華麗にスルーし、水樹は続ける。 「つまり……。」 そこまで言うと、言葉を詰まらせ、張り付いた様な笑顔が固まり、滝の汗が流れた。多分に適当に言っていたのだろう。話しながらオチは考えれば良いかと思いながら。エッセイもそんな感じで書いているからオチが無いというのに。懲りない男である。 「ここまで言えば分かるよね、区論君」 あまつさえパロディーネタまで使い出した。しかし、誰も元ネタを知らなかった場合、ただの冷めた空気へと化すだけだ。ならば、ここは恐らくIQが300超あると思わしき区論さんに(キラー)パスを渡すのが得策。これぞ最強にして最低の手法。『受け継がれる襷《キラーパス》』。 ニヤリとして、横を見る。しかし肝心の頼みの綱がいない。いた場所には代わりに紙が置いてあった。その紙に書かれたことは『恐らくキラーパスが来ると思ったのでトイレに行ってきます。冷めた空気になると思いますが、水に流してください。トイレなだけに。』 脳裏に浮かぶのは件の人物のドヤ顔。取り敢えず後ほど往復ビンタを3往復するとして、窮地に追い込まれたことに、かなりの危機感を覚えた。 どうする……。この空気を壊す方法は……。 あった、コレだ!

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