「ーーということなの。うさぎさん」 アジサイ咲き乱れる雨上がりの夜、花の妖精はそう言葉を結んで、うさぎの頭をなでました。 「それはとてもすてきなお話ね」 そう言って、うさぎは目を細めてうなずきました。 ほめられた花の妖精は照れたように笑うと、また顔を真っ赤にします。 「ありがとう。でも、このときのことを思い出して私が歌うのはとても恥ずかしいの。だから……」 そう言いながら、花の妖精はうさぎを抱き上げると、うさぎの目をまっすぐ見つめました。 「あなたが私の代わりに歌ってくれないかしら」 思わぬ依頼を受けたうさぎは顔の前で線香花火が弾けたみたいに目をパチクリさせて、首をかしげました。 「いいの?あなたが歌わなくて」 そう聞かれて、ますます顔を赤くした花の妖精が何か言おうと口を開きかけたそのとき。 誰かの呼ぶ声が聞こえてきました。 声のする方へ顔を向けると、アジサイの花畑の向こう側に月がのぼり、涼やかな月光を背に受けて、噂の彼がこちらへ向かって手を振っています。 花の妖精は彼を見つけた瞬間、準備していた言葉がわたがしみたいに舌の上でとけてしまったようです。 赤い顔で口をもごもごさせて、抱いていたうさぎをそっと地面へ下ろすと、うさぎに向かって控えめにひらりと手を振りました。 うすべに色のおもちみたいなうさぎは、片耳を折ってウィンクをします。 花の妖精は笑顔でうなずいて、彼のもとへ駆けていきました。 花の妖精と月の妖精は手を取り合って歩いていきます。 今このときだけは、歌はいらないみたいです。 *** うっひゃあー!なんてすてきなお話なんですか!(*/□\) すばらしいのとなんか……なんか……「うわあああ!!///」ってなるやつで身もだえが止まりませんでしたよ!!ww ありがとうございます!!ありがとうございます!!!('ω')三( ε:)三(,ω,)三(:3 )
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ひあああああ…あのしゃんレビューありがとうございます~。 ていうか書くの早くない???わたしが書いたのより百倍くらい素敵なの即書けるってすごくない???これだから才能溢れる人は… あのしゃんハッピーバースデー!日付け変わるギリギリに公開とか遅くなってしまったけど、愛はこもってるので許して!!! あのしゃんらぶよ!
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-月に恋した花は~第2章~- 花の妖精は忘れていました。 なぜ自分は変わった歌しか歌えなくなってしまったのかを。 花の妖精と月の妖精が初めて口づけを交わそうとしていたそのとき、 花の妖精の胸に植えつけられていた毒の蔓が芽吹いて彼女を苦しめ始めました。 「ごめんなさい……私はあなたにキスすることができません……あなたにこの毒の苦しみを味わわせたくないの……!」 そう言って、花の妖精は泣きながら語り始めました。 木の精霊の異常な愛情と幼き日に植えつけられた毒の種の話を。 ふたりは毒の呪いを解いて幸せな口づけを交わすことができるのでしょうか!? ーーー ……と、第2章があるならこん
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