藤白 圭

単なるホラーとしてだけでなく、虐めという社会問題とその周辺の人間関係の歪みを描いた物語で、ゾクゾクさせられると同時に、この物語に登場してくる人物全てが「鬼」であることに、胸くそ悪さを感じました。 虐めは決して許されることではない。 けれど、この物語の場合は虐められる側にも問題がありそうだ。 家柄を誇りに思う一家と、その息子。 きっと、虐められていても、彼は彼で「自分の家は特別」だという感じで、周りを小馬鹿にしていたのではなかろうか? そして、その虐めを見てみぬふりをするクラスメイトや教師。 両親も本気で息子を心配するのなら、不登校になった時点で学校側をとことんやりあうはず。 更には問題解決のためには「なんでもやる」家だと語った祖父。 彼もまた、狂った鬼。 全員がぜんいん「鬼」を心に宿しているが故に、最後の最後まで、どこか後味の悪さを感じさせ、陰鬱とした、閉鎖的な村の中での出来事のようで薄気味悪かったです。 一瞬、祖父が孫を助けるために一肌脱いだ感じに思えるラストであっても、冒頭から出ていた、この家の歪みが漂っているところが、最狂の恐怖です。
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登場してくる人物がくそですね。ホントだ。(笑) 松本清張の『わるいやつら』という映画わ初めて見たとき、こんな悪人ばかりの小説読みたくないし、絶対に書けないと思っていたのに、今ではほとんど抵抗なく書けてしまう自分がコワイ。(悪人ばかりの物語というのは意味です) 流石に未だグロ描写だけはかなりの抵抗があるので、なかなか踏み込めませんが、いつか平気で書いてる自分があるのでしょうかね。(・_・;)
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