時野みゆ

「ゴンドア英雄譚」、この壮大にして心をワクワクさせてくれるようなサブタイトル。 それでいて物語は機関士見習いの少年と巨人の少女の「小さな英雄譚」 この「小さな英雄譚」というフレーズに、人は誰でも英雄になりえるのだという作者の想いがこめられているような気がしました。 突然、龍に町を襲われ、尊敬する父を奪われた少年ナラン。その時はただ見ているしかなかった少年はやがて成長し、鉄甲騎の機関士として理不尽な世界に抗うだけの力をつけていく。 母の想いから作り出された巨人の少女モミジ。「お姉さん怒りますよ!」が決めゼリフの、優しくまっすぐな心をもった少女。 兇賊と反乱軍の攻撃の前に危機に瀕するウーゴ砦。その時、少年と少女は出会い、少女の母の遺産である鉄甲騎サクラブライを切り札として、自分たちの大切な人々と砦を守り抜く――。   物語は主役二人の他にも、大勢の個性豊かなキャラクターたちが活躍する群像劇でもあります。特にゼットス、悪役でもどこか憎めないキャラは、物語のスパイス的存在でした。 また独自の世界観もしっかりとしていて、私は特にモミジの住む山の豊かな自然描写が好きでした。 惜しむらくは読み手の私がメカ音痴であるため、サクラブライが登場するまでは戦闘シーンになかなか感情移入できなかったことでしょうか。 ひとまず危機は去ったものの、ナランとモミジの冒険と活躍はまだ始まったばかり。 「鉄甲騎モミジブライ2――巨人の少女と決意の鎧――」に期待です。
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二瀬幸三郎です。 ご高覧、ページコメント、ご感想に加え、素敵なレビューまでいただき、ありがとうございます♪ 〈ゴンドア英雄譚〉と〈小さな英雄譚〉…… 構想では、他にも別な英雄譚を書くつもりで考えたタイトルで、「世界は広い」という意味を込めました。その上で、〈小さな~〉としたのは、氏の読み通りであり、そして、作者自身が「風呂敷を広げすぎない」為の戒めも密かに込めておりました。 〈英雄〉という称号は、誰でもなれる可能性があると同時に、時に、自分が望まぬ形で与えられてしまうこともあります。 もしかしたら、母の名を持つ鎧は、力の拠り所であると同時に、自らを縛る[枷]になりうるかも知れない……
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拙いレビューですが、喜んでいただけたら嬉しいです。 レビューも小説同様、後から手直ししたくなって困ります(笑)
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