僭越ながらレビューさせて頂きます。 1ページ毎に込められた想いが強く、儚く、切なく、そして優しく伝わってきます。物語というのは単調な部分が生まれがちなもの。それなのに、この作品は冒頭から最後まで感情を揺さぶられました。 深い愛情による嬉しさ、辛さ。誰もが持つ感情を文字でこれほどまでに伝えられるのかと、驚きを隠せません。 そして、今迄の物語と違い、今回は春樹の為の物語。 誰かの為にではなく、自分の為に……そう考えればいいのになと、優しすぎる春樹を心配していました。たくさんの辛い事を経験して、幾つもの想いを救い出し、自分を攻め続けて焦る。 そんな苦しい状況に希望を見せてくれます。それは無償の愛。 愛を求める行為に、そんなにも自分を攻めなくていいんだよ……何度、そう思った事か。八重や早苗の深い愛情を素直に受け取って欲しい。そう感じた読者は多いと思います。 大切なことに気付いた春樹。ここで登場するのが、やはりブレない隆也ですね。夏ミカンにかけた励ましの魔法や、ちょっと抜けているところ、そして、必ずそばにいてくれる存在……たった一人、そういった人がいてくれるだけで、人間は強く前に進む事ができます。春樹は繊細過ぎて度々疑ってしまう傾向がありますが、だからこそ、隆也なのでしょう。真っ直ぐな太陽のような友達……凸凹コンビでずっと笑い続けている未来が想像できます。ちなみに、塚本のさりげない優しさも好きです。 面白かったです。このシリーズの本当に大切な事が、ギュット詰まった物語。 堪能させて頂きました!
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タッくん、この残響を、温かい目でずっと読んでくださって、本当に嬉しかったです。 毎回のペコメだけでなく、こんな素敵なレビューまで(;_;) いままでこのシリーズは、結構悲壮なサスペンスだったり、ミステリー要素を使って描いてきました。 けれど一度、じっくり春樹視点で、彼に自分自身と向き合わせてみたいと思ったんです。 でもきっと、内省的ですごく地味で、読者を楽しませることは出来ない物語になるだろうなあという不安がありました。 気力がダウンして自分を愛することもできなくなった春樹の内面の声はきっと、読者を苛立たせてしまうかも……とか。 だから、タッくんさんのコメントが、とっても嬉しかったです。

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