桜羽 結璃奈

「なにもしなくても、なくなっていくけん。どうせ」 ほとりのこの一言は、読む人によっては、とても肩の荷が下りた感じがしたのではないでしょうか? わたしは心がふと軽くなりました。 変わりゆくものを変えようと抗うのは消耗します。 けれど、ほとりと藍のように、変わりゆくなかで、変わらない想いを持ち続けて、それは時に足枷にもなってしまうのだけれど、いつまででもどんなことがあっても待ち続けてくれている存在がある……それは生まれつき失われていく命をもって時間が流れる中で生きるわたしたちの唯一の安心です。 ほとりと藍がいる、そう思うとね、いなくなってしまった人達、変わり果てた風景も、とてもやさしいものに思えました。 たんぽぽの綿毛、大好きです。 昔、理由があって幼稚園からこっそり逃げ出した時の帰り道で、たんぽぽの綿毛を吹くのが大好きだったわたしは、見つけた時空に向かって、ふーっと吹いてそれが抜けるような青空へ溶けていくのをずっと見ていました。その時の光景の中でわたしは綿毛になんともいえない自由と解放感を感じていました。 ほとりはきっと藍の本当はとても自由にどこへでもいけるところも好きだったのかも。 息吹を送った時、自分にはできない事を、自由を、藍へ託したのかも。 そっと背中を押してくれるお話でした。ずっと大好きです。
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