一染

非常に良かった。 はじめに一人称視点の情景描写から始まり そこにガヤガヤとしたママのセリフが合わさる。 ベースのように地味とも言ってしまえるような主人公の独白と、それとは対称的に蓮っ葉な母親の言葉。 母親のセリフはいくつかあるながらもリズムを崩さずにまとまっている。 つまり途中で意外性のあることなどを言って読者の気を散らさない。 この「まとまり感」「蓮っ葉なのにどこか静かな感じ」が過去を思い返している感じを出している。 この二本の線が主人公の過去を紡いでいく。 どうして主人公は若いのにこんなにも切羽詰まっているのか、何かに焦っているのか 主人公の語りが一人の女性へとつながっていく。 もしさらに改良を加えるとしたら、まりあさんの性格にもう少し立体感を求めたい。 「仕事帰りで疲れているのに夜食を出してくれる」「気を遣ってくれてる」「甘えてほしいと言ってくれる」など、まりあさんの性格が客観的に見て良い人なのは伝わるが ラベル付されたキャラクター的というか、その根底にあるものが見えてこない。 序盤のママと主人公のハーモニーは印象深いが 最大のテーマは「新しいお母さんをママと呼ぶこと」なので 主人公とまりあさんとの関係をもう少し掘り下げても良かったかもしれない。
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はじめまして、花堂さん。 お読みいただけて、レビューまでいただけて、本当にありがとうございます。丁寧に読み込んでいただけて、幸せです。 励みにさせていただきます。 精進します。
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