NoName

テーマについて考え込まれている
漫画版で作品を知りました。現代日本に生きる子供達が銃器を使用・改造するあたりにリアリティのなさを感じたものの、大人と子供の関係性に対して、一通りの正解だけを描くのではなくキャラクターそれぞれが違った考えを持ち、その考えを持つに至る経緯を描写していた部分が印象的でした。特に子供たちに相対する大人側の主張がしっかり描かれていたのが良かったです。キャラクターも多く、よくある異世界トリップものかなと最初は思いましたが、一人一人を深く描いているため、彼ら全員の存在に意味があるが良かったです。 だからこそ、死亡退場してしまうキャラクターがいるのが惜しい。特に砂羽の退場が早くて悲しい。非常に若い子供達が、突然放り込まれた非現実的な世界で行ってしまった行為が、たとえ悪意を伴っていたとしても、現実世界まで反映されるのが少し理不尽に思えました。SW内で亡くなった子供達の事を受け止め、SW外で生きていく主人公たちの後日談が描かれていたのは良かったのですが、晴真のような、SW内で明確に罪を犯し、その後SW外で生きていく子供達がどういう生き方をしていくのかも気になります。願わくば、主人公たちが彼らの手を取ってくれると良いなと思いました。 個人的に一番好きなキャラクターは幸弘で、彼の芯の通った明るさには非常に好感を覚えました。いきなり殴ってくる相手でも怪我したまま外出すれば心配し、自分を殺そうとしてくる相手にもまっすぐ向き合ってくれる器の広さがとても好きです。特典まで全て読んだのですが、紗耶香を守ろうと決意した男らしさもカッコ良い。でも、あんなにたくさん殴られてた幸弘の方から紗耶香を好きになる展開には、違和感を覚えてしまいました(笑)。都合よく動かされている感じ。紗耶香は幸弘に本編で何度も助けられていたので、紗耶香の方から男嫌いを克服して向き合っていってほしかったな。事情が重いので仕方ないのかもしれませんが…だからこそ、この二人には無理に恋愛関係に発展するのではなく、男女間の友情を成立させてほしかったなと思いました。漫画版は少し台詞等異なってきているようなので、もし関係性にも変更を加えるなら、ぜひこの二人の描写は掘り下げて欲しいなと思います。 改めて、素敵な作品をありがとうございました。ネット上で一気読みできるような作品に出会えるとは思っておりませんでした。今後のご執筆活動も応援しております。
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