2024/06/07@『一線の越え方』番外編の冒頭…のようなもの。

1/1
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ

2024/06/07@『一線の越え方』番外編の冒頭…のようなもの。

 過去にれんちゃんと書いた、『一線の越え方』https://estar.jp/novels/23609510というお話があるのですが、いつのまにか(すみません…)★を一万五千もいただいていたので、お礼も兼ねて番外編を……と思っていたりします。思っているだけでなかなか進まないのが私なのですが、、そんな中、スタートは私ということでひとまず書けたところだけここ(チラシの裏?)にお披露目してみます。リレー自体はお互いのタイミングがあるので、ちゃんと開始できるのはもう少し先だと思うのですが、その時には改めてお知らせしますので、ご縁がありましたら覗いてやってもらえると嬉しいです。俺様×ツンデレです。受けは大学を卒業して、母親がやっている私設保育園に就職しています。 ※あ。若干濡れ場込みなので、お気を付け下さいませ……。 ーーーーーーーーーー  拭えない疲労感と眠気に瞼すら上げられない。  なのにまた腰を引かれ、こちらの意図などお構いなしに身体を開かれる。 「いつ、逸樹、さ……、も、無理……っ」 「無理じゃねぇ」 「んぁ、あ゙……っ」  声はもうすっかり嗄れていて音にもならない。辛うじて見上げた天井は水膜に滲み、それが規則的に揺れるのをどこか他人事のように見詰めるしかなかった。 「どこ見てんだ。俺を見ろ、直人」  そんな中、落とされるのは酷く理不尽な要求で、 「あぁっ、も、出な……!」  ぱちゅぱちゅと耳を塞ぎたくなるような音が一際高く響く中、もはや出るものなんてないと訴えても、 「大丈夫だろ……お前はもう、出せなくてもイけんだから」 「ひ、ぁ……!」  目の前の男は手を緩めるどころか、次にはより深いところまでその質量を貫かせては一方的に律動を続けるのだった。  せっかくの休日を二人でゆっくりしたいとか、言いたいことはわからなくはない。  だけど、今日のこの休みは断じてそのために取った休みではないのだ。  土日だけでは終わらないだろうという荷ほどきを、その前日である金曜日を含めた三日で何とかするつもりで、そのために合わせて取得した有休(取った休み)だった。  なのに蓋を開けてみれば休前日だという状況に任せて昨夜からほとんど寝かせてもらえず、ようやく意識を飛ばしたことで離してもらえたかと思えば、夜が明けたら明けたで無駄に寝起きの良い相手にまた良いようにされてしまい――。 「あんた、ほんとばかじゃねぇの……」  俺はぐったりとベッドにうつ伏せたまま、声にならない声で呟いた。  ***  大学を卒業したら、当然のように同棲するつもりだった逸樹さんを何とか宥めすかして、一年が経った今も俺は実家で暮らしている。  理由は単純に職場がその隣にあるから。  俺の就職先が、母親が立ち上げた私設の保育園だったからだ。  ちなみに、逸樹さんのマンションからここまでは片道二時間――高速道路を使用――はかかる。それを理由に俺が無理だって言ったら、当たり前みたいに「じゃあ改めて中間地点あたりにマンション買い直す」とか言い出すし……あれは正直、マジでびびった。  俺のシフトは早番がメインなので、特に何もなければ16時過ぎには退勤できる。休日は月に6~8日。うち、日曜は定休。  退勤後はまっすぐ家に帰って風呂に入り、仕事の復習をしつつも自室で少しのんびりして、同居しているお義姉(京香)さん――現在三人目を妊娠中で、現在は産休中の――か、母親が用意してくれる夕飯を、できるだけみんなそろって食べる。それが日課。 「直人、そろそろ起きろ。飯買ってきた」  そろそろ起きろじゃねぇんだよ……。  思いながらも頭をもたげ、のろのろと身体を起こす。あちこちべたべたしたままの肌が気持ち悪い。気持ち悪いけど、それ以上に色んなところが重くて痛い方が辛い。 「……」  俺がベッドからどうにか足を下ろすと、開け放ったドアの傍に立っていた逸樹さんが僅かに口端を引き上げた。 「抱えてやろうか」 「いらない」  掠れた声で即答するも、自分の状態は自分が一番よくわかっている。多分これ、まともに立つこともできない。 「遠慮すんなよ」  案の定というべきか、無理矢理ベッドを降りた俺はそのままぺたんと床に崩れ落ち、「ほらな」と言わんばかりに近づいてきた逸樹さんに腕を掴まれた。  いや、だから誰のせいだと思ってんだよ。  そう返すのも腹立たしくて、俺は無言で逸樹さんを睨み返す。若干の侮蔑を込めて。 「その目、悪くねぇ」 「ば…………っかじゃねぇの!」  なのに逸樹さんにはそれすら通じなくて、結局はその腕に易々と抱き上げられるしかない。  ……まぁ、なんだかんだ言いながら、嫌なわけじゃないんだけどさ。死ぬほど恥ずかしいのは確かだし、居た堪れないから止めて欲しいとは思うけど……それが俺の好きな人(逸樹さん)なのはわかってるし。 「……っ」  俺はされるままに身を委ね、けれどもその直後、あられもない場所から中のものが漏れ出てくる感覚に気付いて息を呑んだ。何が、だなんて確かめるまでもない。  そしてそうなるのがわかっていたように、逸樹さんはいっそう機嫌良さそうに目を細めるのだった。 「飯よりさきに、風呂だな」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!