いみ

「ミナミコシガヤ」 中途半端な町だと思うよ、本当に。ある意味では典型的と言えるのかもしれないけど、駅前だけが妙に栄えているけれど、少し駅から離れれば住宅街が広がる。駅はまぁ、武蔵野線と東部伊勢崎……いや、東武スカイツリーラインが混じってる駅だからね、東京に出るにも大宮に行くのも30分くらいだから便利っちゃ便利か。隣駅には日本最大級のショッピングモールがあるし。 立ち位置的にはもうはっきりと、東京のベッドタウン。ま、埼玉の東京に近い地域は大体そんな感じだけどね。 俺はそんな町に居を構えて早3年。住宅関係の仕事で生計を立てる26歳男子。現場監督として日々激務に……いや、最近そんな忙しくないか。 その日も夜8時に武蔵野線南越谷駅に着いた俺は、部屋に帰ろうと北口に向かった。 今日も疲れた。久しぶりにお酒を飲んで帰るのも良いかもしれない。明日休みだしな。 そんな風に、今日も何事もなくいちにちが終わる予定だったんだ。 「……あ?」 ────!!!!!! 激震。爆音。異常事態。 「やば、くね?」 地面に尻餅をついてしまった俺が南越谷駅南口前ロータリーに見たもの。 それは、巨大な「足」だった。 「……?」 鉄製で、角張っていて、俺はそのフォルムに親父にもぶたれたことのないクソガキや、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだって言うクセ、いつもパチンコで俺から逃げるクソガキのことを思い出した。 頭がついていかない。いつの間に、漫画の世界が現実になりやがった? さっきの衝撃は、明らかにこの足が落ちてきた時のもの。逃げ惑う周囲に構わず、俺は歩みを進めて上を見上げる。 ロータリーを滅茶苦茶に踏み潰した足は、足だけではなかった。 体があって腕があって顔があって。 間違いなかった。 それは、巨大なロボット。 「マジ、かよ……」 『南越谷の皆さん、こんばんは!ご迷惑おかけしまーす!!』 突如、ロボットから声が放たれる。それはまだ子供と呼べるほど幼い、女性の声だった。 『これからこのロボット、機神の機動実験を行います!死んじゃうかもしれないから逃げるなら今のうちだよー!』
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すげぇ迷惑www

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