射月アキラ

 イベント参加ありがとうございます。レビューさせていただきます。  P60まで読みました。    世界観について詳しく、ということですが、そもそも世界に関する描写が不足しているのでなんとも言えません。  案内センターはどんなところか、という点に関しても、「生前いた世界と変わらないらしい」程度の情報しかない。    では、地獄は? おばあちゃんが死んだときの周囲の描写は? 優さんの回想で登場する「生前いた世界」の描写は?  特になにもありません。「生前いた世界」については「都会の割に星がよく見えた」とか書いてありますが、ビルも路地も人通りも何も書いていません。  これでは完全に読者の読者による世界が展開されてしまいます。短編ならそれでもいいんですが(むしろ「いろんな読み方のできる話」とか作れますし)長編でこれは少々厳しい。    世界観が安定しないと、読み進めるうちに作者の想定と読者の想像の間にギャップが生じてしまうんですね。  そもそも「生前いた世界」というのも二、三年死ぬ年が変わればコロコロ変わってしまうものなので、説明に使うにはふさわしくない。描写するべき。    で、死後モノで重要になると思う登場人物の心情ですが、選ばれている単語がストレートすぎて浅い。  喜怒哀楽だけですべての感情が語れないように、一言では説明できない感情はいろいろあると思います。おばあちゃんと優さんの純愛なんかその筆頭でしょうし、「外され者」の二人の心情だってそうでしょう。    「相手以外はなにもいらないとすら思える(ほどの愛情)」とか、「真っ暗な穴に落ちていくような不安感」とか、そういう心情描写はいくらでもできるわけです。  それを「好き」とか「怖い」とか、一言で説明してしまっているのがとても残念。ストレートで分かりやすいということは、その感情の深さを想像できないということでもあるんです。笑顔という分かりやすい表情に隠された裏の感情が読めないように。    総括すると描写の足りない話でした。  そもそも異界の話をしているのに異界の描写はありませんし、鬼という異種族がいるのに髪色と服装くらいしか書いてませんし。  異界を想像するという意味でも、人物に感情移入するという意味でも、描写は大事だと思います。描写関連に注意して小説を読んでみるといいかもしれません。    長文失礼しました。

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