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いみ
いみ
2013/9/19 7:26
近くでまじまじと見てみると、少年はまだ中学生ほどの年齢に見えた。幼さが全く抜けきっていないところを見ると、中学二年か三年か、その辺りだろう。 年齢のことを加味すると、彼の勇猛果敢さはその若さ……否、青さから来るものだろうと流歌は軽くため息をついた。 怖いもの知らずで根拠もなく自信満々。そんな青臭さを、自分はいつから忘れてしまったのだろうか。 「君、名前は?」 「……」 名前を問いかけるも、少年はそっぽを向いてまだ口を開こうとしない。 “歯食い縛ってまで答えたくないの……? これじゃあ私が悪者みたいじゃない……” 「おーいルカ!やっこさんまだ子供やんかー。手加減したりー?」 「ゆー子!? 悪いの私じゃないんだからね!?」 「あほか!実力差考えぃ!」 ゆー子が苦笑で放ってきた言葉に、少年の体がビクッと震えたのを、流歌ははっきりと感じ取っていた。 「……なるほど?やっぱり君、私に当然勝てるつもりでいたんだ?」 「…………3年も戦ってねーし、魔眼もあの戦争で使えなくなってるって聞いた」 一度口を開いた少年は一転、流歌を睨み付けると悔しそうに言葉を連ねた。 「くっそ、何だよ!全然戦ってないクセに何でそんな強いんだよ!!」 「あのねぇ……魔力兵装使うのにもそんなに時間がかかってるようじゃ、県大会も勝ち抜けないよ?」 「うっせぇ!! ババアのクセに俺に講釈垂れんな!!」 その瞬間、流歌の脳裏に恐ろしい予感が掠めた。
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