焼きおにぎり

二人の男の視線が交わる。 「何故、だ」 疑問と焦燥。そして、絶望を孕んだ声はひどく震えていた。 男の上に馬乗りになった他方の男は、その問いに答えることなく、その首に掛けた両手の力を強める。 「あ、がッ」 今にも破裂してしまいそうなほどに膨れあがった眼球は、それでもなお、自身の首を締める男の顔を見つめていた。 「気付いたんだ」 男は言った。 「君さえいなければ、この世界は平和そのものだと」 「な、に……」 「僕は君に何度もチャンスを与えた。何度も、何度も。だけど、君はちっとも変わろうとしなかった。だから──」 ーー殺す。 平和のために。世界のために。愛と、勇気のために。 「それが、お前の……答えか」 男は圧迫された喉の隙間から、何とか声を紡ぐ。 「後悔するぞ。光あるところには、闇がある。それが、道理だ……。俺様と貴様、これは正義と悪の均衡だった。その均衡が崩れる時……その先に何がある? 悪が消えた先に何がある!?」 そして、男は最期の言葉を吐き捨てる。 「新たな悪が産まれる。もしくは──正義も共に消える。ただ、それだけだ」 ーー貴様は何も分かっていない。 男は声にならない声を絞り出すと、呼吸を止めた。 「許せ」 ーー僕は戦うことに疲れたんだ。この戦いの輪廻に。 男は立ち上がり、絶命した男を見下ろすと、静かにその場から飛び立った。 。。。という、アンパンとばい菌のお話。(深い意味はない)
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ストレス解消ですね分かります笑
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センター二ヶ月前www
どうすんだよ...、 幼稚園児閲覧レベルを遥かに超えてんぞw
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現代のちびっ子たちはマセてるから問題ないですwww
あるアンパンの物語② 訪れた平穏は、退屈なものだった。 腹を空かせた住人たちにパンを与える毎日。何の変哲もない笑顔。そこにある幸せは、いつしか当たり前のものとなった。 この一欠片のパンにも、こうして笑いあえる日々にも、誰も感謝しようとしない。 ーー貴様は何も分かってない。 あの男の言葉が呪いのように、頭の中で繰り返される。 無機質な日々を見下ろしながら、男は今日も不必要となった“パトロール”を続ける。 ーー何も分かっていない。 男はその呪縛を振り払うかのように頭を振るうと、一気に空を駆け抜けた。 「いやあ、ご苦労だったね」 工房に戻ると、おじいさんがいつもの笑
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あるアンパンの物語③ 思えば、あの男はいつも笑っていた。 どんなに罵られようと、どれほどの傷を負おうと、奴は笑うことをやめなかった。 そして、何度も立ち上がった。まるで、敗北することを望むかのように。負けることこそが使命であるかのように。 そして、男は気付くのだ。 ーー奴は、“絶対悪”だったのだと。 あの男は決して勝とうとはしなかった。あくまで、敗北を重ねたのだ。手段を選ばなければ、いくらでも勝つことはできたはずなのに。 だからこそ、工房の戦士たちは勝ち続けた。その勝利は、疑うことのない必然だった。 あの男は、それを“正義と悪の均衡”だと言っていた。 全く持ってその通り
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