【コメント】

ボタン

冒頭からとっても僕の好きな香りの漂う作品でした。どこにも向かうことのできない生活というか、自虐でも自暴でもないのだけど、自分を放棄したような主人公の生活の場として描かれるボロアパートとシズカのヒモという境遇が正直、めっちゃ好みです。そしてさすがの言葉選びのセンス！情景ばかりでなく、主人公の心情や、シズカの台詞などは、生々しくさえ感じるほどです。また男性主人公の一人称であるにもかかわらず、その人間性がしっかりと描かれているのは本当にすごいと思います。強いての要望をあげるなら、アヤの存在とできごとを仄めかす（何かあるぞ、と思わせるのではなく、後から読み返すとあれはこういうことだったのか、と納得するような）、モノローグが序盤、中盤あたりに紛れていれば、僕的には神作品だっただろうな、と思います←注文が細かくてごめん怖いながらもすごくその空間に浸れる素晴らしい作品でした。ありがとうございました。

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