【コメント】

黒髪の男の子

勝手ながら、拝読させていただきました。この作者様の作品を拝読するのは、二作目となります。まず、この作者様は読者を引き込むのが大変お上手です。表紙から「どんな物語かな？」と興味を持ち、最初のページを読んだら最後、もう最終ページまで一気に読んでしまいました。物語についててですが……恐怖の中にも切なさが残る、とても印象深いものでした。何をするでもなく、ただ無表情で隣に佇む少年。その描写がとてもお上手でとても怖かったです。精神を病んでいく由美、なにもわからないまま疲れていく浩二、この二人の崩壊の様子にハラハラして、次々読み進めてしまいました。ラストに訪れた救いに、胸が熱くなりました。悲しみの中にも、きちんとハッビーエンドへと仕立ててられていて、後味が良かったです。男の子が何を思って何を目的につきまとっていたのかがはっきりされず、謎を残したまま終わるところもホラーとして大変好感を持ちました。ミステリー要素とホラー要素を兼ね揃えているので、それらを好んでいらっしゃる方には大変お勧めです。素敵な作品をありがとうございました。

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