吉田 群青

ヒモロギが本来、神降ろしの「樹木」である事を考えると、樹木の集合である「森」というのは、はるか昔から幾人もの人々が葬られ、またその人々との再会を願って幾人もの人々が訪れた邂逅の舞台に相応しい場所なんでしょうね。 生者が故人との再会を望むのは、両者の間に越えられない壁があるからでもあり、越えられる絆があったという信念があるからでもあり、そんな想いがこの森の樹々の数だけそこに籠められている。そう思うと架空の場所であるはずの「ヒモロギの森」に奇妙なノスタルジーを感じてしまいます。 大切だったあの人は、彼岸で幸せでいるだろうか、今も僕をどこかで見ているだろうか。 …まんまと多数存在さんにおセンチな気分にさせられたよ、チクショー(笑)。土着信仰や民俗学をテーマにしたミステリー大好物の吉田は、的確にツボを押されてもうふにゃふにゃです。 涼子の逢いたい人は誰だったんでしょう。単にミズホだったのか? それともーー。 気になる謎をひとつ残し、美しく冷たく、少し悲しい物語は幕となってしまいましたが、いつかそれを知る事の出来る作品を読むことが出来ることを願っています。
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勿体なさ過ぎるレビューありがとうございます♪ 僕も土着信仰や民俗学が好物なので、そのジャンルで書いてみたかったのですが、好きな癖にあんまり詳しくないので、以前知り合いに聞いた実話を元に話を膨らませました。 と言っても、雨の日に入ってはいけないと言われてた山で遊んでたら地面から伸びた髪の毛が足首に絡まりついていた、という部分だけなんですが。 そして語られない背景に言及されるあたりが流石の慧眼ですね。 ですが涼子の逢いたい人、或いは彼女が殺してほしいと言ったワケはたぶん書くことはないと思います。 所謂「ご想像にお任せします」というヤツです。 いえ、一応は考えてはいるのですけど、あまり

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