読了しました。 ライフワークとして書かれている作品だけあって、非常に読み応えの有る作品でした。 まず大航海時代というのが良い(厳密に言うと大航海時代より少し前ですが)。 まだ世界地図に空白が残っていた時代。この時代に未知なる世界を夢見て船を出す男達の少年のような高揚感は、それだけで男の冒険心を刺激します。少年時代に『宝島』(スティヴンソン)を読んだ時のようなワクワク感が有りました。 当時の世界情勢や地域毎の暮らし向き、宗教観や特産品に至るまで、極めてリアルに書かれている点も素晴らしい。多くの資料を読み、取材なども含め相当勉強されたのでしょう。その成果がいかんなく発揮されていると思います。 特に良かったのは【異なる祈り】の章で、様々な宗教(無宗教含む)がぶつかり合っていて、非常に興味深く読めました。何を信じ、何を拠り所に生きていくか、それぞれ異なる価値観を持つ者達が、それでも力を合わせて旅をしていく。冒険小説の醍醐味ですね。 普通に冒険譚としても十分楽しめる作品に、あえてSF的な要素を取り込んだのは、そこがこのシリーズの肝になる部分ということなのでしょうね(この暁の章だけではまだわかりませんが)。良い意味で異色作だと思います。 一つだけ気になったのは、マダガスカル島の部分ですかね。 太古の時代に大陸から切り離され、孤島となったが故に独自の生態系を有するこの島に、象・サイ・豹といった大型哺乳類が生息しているのは少し強引なような気がしました。SF部分を除けば非常にリアルな作品だけに気になりました。 拙い感想でしたが、これがほんの少しでも作者様のモチベーションUPに繋がってくれれば嬉しく思います。
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丁寧なレビューをありがとうございます。 マダガスカル島に関してはイーヴン=バットゥーダの『三大陸周遊記』とマルコ=ポーロの『東方見聞録』を元に執筆いたしました。 確かに仰る通り、独自の生態系をもつマダガスカル島に住む動物に関して、勉強不足でした。ご指摘感謝いたします。 しかしゾウやサイの角(サイカク)は、港の人間が交易で手に入れていた事は、両方の資料に書かれていたので、全く存在しなかった訳ではなさそうです。 その点は加筆修正させて頂きます。 豹に関しては完全に私の勘違いなので、調べなおして訂正させて頂きます。 嬉しいレビューに訂正箇所まで教えて頂いて感謝いたします。 ありがとうござい

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