【コメント】

りっぷる

この作家の作品を読むのは、『母の遺言』に続いて2作目となります。『りっぷる』は、童話として書かれた『母の遺言』とまったくスタイルの違う、大人向けの小説ですが、読みはじめたときから、同じ作家が書いたんだなと思わされる感触がありました。感覚的な言葉の奔流にとまどいながら、自分の感じているこの感触の正体はいったい何なのだろうと、ずっと考えていました。読み終わった今思うのは、それは、母親＝「生命を与えるものの目線」で書かれている、という感触ではないかということ。「生きる」ことにまっすぐに向き合う、読み応えのある作品でした。