探し続けてる、素顔のままの愛を……    音楽ファンにとって、1980年のジョン・レノン、1992年の尾崎豊のあまりにも早過ぎる死は拭い切れない程のある意味「トラウマ」を与えてしまいました。  故に、この二人のロック・ミュージシャンは一般的に神格化される側面もあります。  ジョンがニューヨークのダコタ・ハウス前で凶弾に倒れたのと入れ替わる様にして、1983年にアルバム『Seventeens Map』で衝撃的なデビューを果たした尾崎豊。今作品は、その彼がこの世を去ってから、周囲の人々(その中には関係者のみならず、一般的なファンも数多く含む)に与えた影響やイコンとしての存在を醸し出しつつ、あまりにも人間的なリアリティを持った群像劇が展開されるストーリーに、その小説としての魅力を感じます。  ニューヨークという土地の持つ硬質なザラっとした印象。小説の構成的な工夫に目を向けると、中盤で訪れた際のある情景描写が、後半の衝撃的なストーリーテリングを見事にまとめあげる伏線として機能していることに感心してしまいます。  かなり完成度・キャラクター造形ともにハイレベルな作品故に、ほんのわずかに気になったのが、冒頭のシーン(1993年と推察出来る)以降の時代推移が、やや分かりにくくなる部分が存在する点です。果たして2000年代に突入してしまったのか? それとも1990年代で留まっているのか? 本格的な作風の為、あえてぼかした描き方をされているのかも知れませんが、本当に小さな箇所だけで良いので訂正されると、不自然さが解消されると思います(すみません、あくまでも個人的な感想です) 「愛という言葉はなくても、一人で生きて行く訳じゃない」というフレーズが僕の頭の中を何度も過ぎって行きました。多分、作者様には分かってもらえると思います(笑)  思い返すと、尾崎豊ほど正当な評価が成されていないシンガーもいないのではないでしょうか? 当時のスキャンダラスな報道が彼の「作品」そのものにバイアスをかけてしまったことが残念でなりません。  私ごとですが、尾崎を世に出したソニー・ミュージックの須藤プロデューサーが、後に手掛けた橘いずみ(現;榊いずみ)の作品を聴いた時、フォロワーやエピゴーネンではない、彼女なりの「尾崎サウンド」を発見出来たのは嬉しい想い出です。素晴らしい小説をありがとうございます!
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熊川なおたかさま  作品にコメントを書いていただけたことにまずは感謝を。ありがとうございました。 エブリスタ歴3か月、まだまだ未熟でお恥ずかしいですが、今までの思いを一生懸命吐き出すように書かせていただきました。 さすが、熊川さんはすべてわかっていらっしゃるようで、同志に巡り会えた軌跡に感動しております。 架空のカリスマとして「オザキ」をとりあげました。 確かに年代には試行錯誤。鋭いご指摘にドキッと(^O^) その通りなんです。 1ページに1000文字 書かなくてはいけないのかと、必死でしたが、これからは遊び的空間の大切さも必要と、工夫して書いていけたらと思います。評論を書かれているのですか。
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いとういくこさん わざわざご丁寧なお返事と、僕の作品にたくさんの応援まで頂きまして、本当にありがとうございます! (⌒∇⌒) 『クラクション』は、毎回異なる尾崎の作品をBGMに流しながら、これからも読み返して行きたいと思います (^∇^)/ ……今日は『勿忘草』と『街の風景』を聴きます♪ 僕も音楽ファンとして、いとういくこさんの作品に出会えた事が嬉しくて嬉しくて! こちらこそ、どうぞよろしくお願いしますね。
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