夏月 海桜

短編を書かせたら、この方の右に出る者はいない。真骨頂とはこの作品の為の言葉では無いだろうか。 限られた文字数とページ数の中で、雄大なる歴史ミステリーを紐解いてしまった作品。筆者様の歴史観というべきか。歴史好きな私にとっては知っている歴史なのだが、私は知っているだけなのだ、と思い知った内容だった。 歴史を知り、考察して、次へ繋げる。 私に足りないものを、いとも簡単に物語に組み込んで示してみせた。なかなか出来る事では無い。 いとも簡単に、と言ったが、違う事は解るつもりだ。ここまで丁寧な歴史の描写は、念入りな下調べによるものが無ければ無理。更には、何を書いて何を書かざるべきか。そのバランスも計算されているように思う。執筆にあたり、時間をかけた事は想像に難くない。 しかしながら、それを見せずに作品を創り上げてくるところが筆者様であり、いとも簡単に、と思わせてしまうのだ。 冒頭は夫婦の仲睦まじさが際立ち、一瞬、ミステリーのカテゴリーに入るのだろうか?と疑問を思ってしまった自分の不甲斐なさに情けなくなった。長く筆者様の作品を読んでいる身なのだから、直ぐにカテゴリーされた理由が解るはずだったのに。 そう思いながら、紐解かれた歴史ミステリーに、筆者様の考察力を思い知らされ、更にラストを読んだ時、この作品は二重に仕掛けがあるのだ、と興奮した。 素晴らしい短編をありがとうございました。
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作品を丹念に読んで頂き、丁寧なレビューを、ありがとうございます。m(__)m このレビューを頂いただけで、書いた甲斐がありました。 2回戦への進出を望みますが、夏月さんとだけは戦いたくありません。 いや、逆でしょうか? 夏月さんと次のテーマで競い合ってこそ真に切磋琢磨と言えるかも知れません。 ありがとうございました。m(__)m

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