天欄

「都市伝説」というテーマでまずホラーを連想しました。 そのため、どこで怖がらせて来るかと身構えていたのですが、この作品はホラーでありながら怖さを目的としていないような印象を受けました。 (あくまでも自分個人の印象です) 怖さは確かにあります。しかしそれを通して現代の状況を描写しているように受けました。 SNSによる情報の拡散の早さ。 「都市伝説」という理由を作らなければ勉強をしない学生。(目的を持っていない) 文句を言いに来る親。(この作品内ではモンスターまではいっていない?) 現代では情報がすぐに広まる。それはいいことでもあり、悪いことでもある。 まずは拡散力の怖さ。 総理大臣も毎年のように変わる今、将来に安定と希望が見えないために必死になれない、そしてならない学生。 その彼らを動かすために使った「都市伝説」による話の怖さ。 そして子どもに異常が起きれば、原因や責任を教育者に押し付ける親達。 即ち人の怖さ。 人の怖さという点では他にもありましたが、上記にしました。 様々な怖さがたったの10ページに込められ、また、現代をそのまま表現したかのような小説。 自分の語彙力のなさのせいで、どう表現すればいいかがわかりません。 簡潔に言えば、素晴らしい小説です。 飾りのないこの言葉では、やはり表現しきれませんね。 深い読みのレビューに対するお礼を込めてのレビューです。 起こるわけないと思いながらも、一方では起こり得ると思ってしまう矛盾した感情を起こさせるリアリティのある小説でした。

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