中学生と壮年の男性。 本来なら、 恋愛が成立する年の差ではない。 だが、主人公は多感な思春期に 深刻な環境の変化が重なり、 年齢以上のものを抱え続けて、 人知れず無理を重ねている。 そんなとき、蜷川さんと出会う。 彼は背伸びをし続ける主人公のつらさを 無言のうちにわかってくれた・・・。 母子家庭であるがゆえに、 蜷川さんへの感情は 完全な男女の愛ではない。 父性と恋心が ほどよく曖昧に混ざり合った 不思議な情感をかもし出している。 だが、その描き方が絶妙だ。 この作者はちょっとした 描写が冴えている。 煩雑な日常に疲れたときに、 良い自分に立ち返れる 貴重な一冊ではないかと思う。
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