清瀬 美月

淳子にとって航平は、やっぱり王子さまだったのだと、思う。 鴨芽銀座商店街の人々は距離感が無駄に近過ぎて、家族みたいで、面倒くさくて、あたたかい。 淳子によって、たんたんと語られる冒頭のシーン。 情け容赦ないえげつなさに、胸が痛くて泣きそうになってしまった。 誰かに甘える勇気すら残っていなくて、ただ受け入れるしか出来ず、またあのアパートに帰るしかない。 そんな淳子の前に現れた航平は、大きくてあたたかくて……。 やっぱり王子さまだったのだと思う(二度目) このまま航平を選んで、幸せになってほしい。 そう願いながらも、きっとそうじゃないんだろうなと、流れる時間と共に不穏な空気を感じ取りながら。 淳子の健ちゃんを庇うシーンでは、胸が締め付けられるかのように心臓がドキドキして痛かった。 だからこそ、―――。 成り立つ二人なのだけれど、手を伸ばせば救われる道があるのに、やっぱりそこには向かわないのですね……。 この作品に登場する人物は、皆、いろんな情景の中でそれぞれを見守っているように感じられて、切ないけれどとても温かい。 鴨芽銀座商店街、私もメンチコロッケを買いに行きたいです。 すごく好きな世界観だったので、読んでしばらくは動けませんでした。 知紗さん、素敵な作品をありがとうございました。
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ひゃぁぁん(o^^o) 清瀬さん、素敵レビューをありがとうこざいます!!恐縮です。 嬉しいです!これからも、頑張れます!!

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