シズミカイ

良い作品に巡り合えました。 音楽に疎いうえに読書家でない私がこの作品の評価をするなんておこがましいかもしれませんが、この作品の魅力についてどうしても語りたくなったのでレビュー致します。 まず、数々の史実と連動して話が進んでいることについて。 話に厚みが出ています。多くの国々にまたがって話を作っていることもあり、壮大になっています。日本庭園の借景の技術の様だと思いました。(・・・・・・少し違う?) また、登場人物が(ほとんど)既存の人物にもかかわらず、狼歩さんのオリジナルのキャラクターのように生き生きしています。それぞれの音楽家に深い思い入れがあるのかと思います。 次に、文章について。 読みやすいです。無駄な表現がなく、すっきりと読めます。けれど、必要なことはきちんと書いてある。読者の想像を書きたてる十分な量の情報はしっかり含まれている。 この作品は特に音を扱っているので、登場人物の生活面や、心情の変化などは少々控えめに書いた方が作中に度々登場する音楽の魅力が際立つように思います。実際に私はそう感じました。 最後に、その知識量について。 上記のことを作品に取り入れていくうえで、何より音楽の知識、音楽家の知識が必要だったと思います。狼歩さんが本当に作中に登場する作品、人々のことが好きであるのでなければ作れない作品だったのではないかと思います。とにかく、物書きとしての技術があれば誰にでも書けるという作品ではないと強く感じました。 長々と失礼しました。終わりに少しだけ。 この作品は続けようと思えば、続けることができた作品だと思います。時代をさかのぼり、あるいは時代を進ませてさらに多くの音楽家を取り入れていけばいいのですから。 けれど、きちんと物語が終わってどこかほっとしています。 物語と言うのは、気に入った作品であればあるほど、終わりが来ると寂しさを感じますが、この作品はそうではありませんでした。 この後もレグバは綺麗な魂を持つ音楽家の卵を求めて翻弄するんだろうな、と思わせる心地よい余韻が残りました。不完全燃焼じゃなく、ちゃんとエンディングを挟むベストなタイミングで終わっていたと思います。 少しになりませんでした。これで本当に失礼します。
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たくさんたくさんステキなお褒めの言葉をありがとうございます。 身に余るレビュー、光栄です。感激しています。 でも、褒めすぎですよ。(〃ω〃) この話の後半は少し迷走して、強引に終了させてしまったような後悔が残っていました。 でもシズミさんにこうおっしゃっていただけると「そうか!これでいいのか!」 と楽になりました。 ありがとうございます。 そして、これからもよろしくお願いいたします。

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