たすう存在

まるで日本画のように淡麗な言葉選びが、読み手の気持ちをさらりと颯太の心に近付けてくれるようでした。 あまりにも自然に入ってきていたのですが、改めて使われている言葉を読み直してみると、特に梓の事を語る言葉などはとても美しく、おそらく作者さまはとても丁寧に言葉を選ばれたのではないかと思いました。 バレンタインパートは大人な、どこか悟った風に描かれていた颯太ですが、このホワイトデーパートではその人物像を壊すことなく良い意味で体温を感じさせず、だけど苦悩もし、めんどくさいことを考えるとても自然な人間らしさが生まれていました。 颯太の描ききった絵、淡い色の花びらに羽化したばかりの蝶というのが、颯太の見た梓というだけでなく、これから二人で歩む道のりの中での二人の変化も予感させますね。 白い季節から芽吹き色づく春という季節の取り入れも流石。 最後にきゅんなやり取りもしっかりと用意され、満足度も高いです。 とても綺麗なホワイトデーストーリーをありがとうございました。
2件

この投稿に対するコメントはありません