清瀬 美月

運命の恋は、決してハッピーエンドで幕を閉じることばかりではなく。 ハッピーエンドを願い、紆余曲折あれどもみんなが幸せになればいいなんて、そんな結末に期待する年頃でもなくなってしまった……←大人ってやだな。 バレンタイン編の『春薔薇の庭にて』のエンディングに動揺したのは私だけではないはず ((((((゚д゚;ノ)ノ この続きを、―― ハトメさんはどんなふうに創り上げていくのかな……あわわわわ、と緊張感をもってホワイトデー編の公開を心待ちにしていました。 大正時代のアリスと草介のお話にはもう一人、かなり重要な登場人物、紅子という人が存在します。 しっとりとした情景の中、夢のような淡い恋が生まれた二人と、静かに、淡々とした存在感を示す紅子。 これから先に起きることを暗示するかのように、その存在だけがリアルで少し怖いくらいでした。 このホワイトデー編では紅子にも焦点が当てられ、彼女の置かれた背景を知ることができます。 もっと嫌味で計算高い女性だったのなら、草介もまた違ってきたのかな。 アリスだけではなく、彼女の恋もまた純粋で、草介に対する想いが切なくて苦しかったです。 このホワイトデー編で紅子の想いを知ることが出来て良かった。 随所に渡って建築の描写がふんだんに散りばめられていて、何度も読み返してはうっとりと……。 好きなんですよう、建物が。 それも現代アートなやつではなく重厚なものが。 「桐嶋ハトメのたてもの探訪」かなり楽しみにしています← 草介が鳩目邸で一番美しい場所にすると決めた場所。 そこに二人で足を踏み入れることはなかったけれど、ラストの日記の記述にぐぐぐっと胸が詰まりました。 薔薇はまだ咲いてはいなかったけれど、ちゃんとアリスの胸には薔薇が、―― きゅんだ!! 時代背景や環境が邪魔をして運命の恋は叶わなかったけれど、ちゃんと世代を超えて受け継がれていくのかなと、ハトメさんの描く「ワンダーランド」に感慨無量です。 とても素敵でした(*´▽`*)
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