吾妻栄子

「大山鳴動して鼠一匹」と言いますが、この話の怖い点は、むしろ「『電子メール』という鼠一匹が『世間』という大山を揺るがしていく」ところにあると思います。 この犯人の造形は、遠隔操作事件の犯人や「ヤフーチャット万歳」と叫んだ殺人犯といった、不遇な引きこもり青年犯罪者を連想させますね。 職場の後輩や上司、タクシーの運転手やコンビニ店員の女の子、喫茶店で隣り合わせた老人たちの描写も鮮やかです。 彼ら老若男女はそれぞれ「世間」を象徴する存在ですね。 一貫して揺れ動かなかった主人公が、最後に揺れ動かなかった正にそのことに恐怖を覚えるラストには一捻りした味わいがあります。 タクシーの運転手との世間話すら煩わしい、顔馴染みになったら行き着けの店を変える、といった、他者との接触を避ける主人公の行動にはいかにも現代都市にいそうなリアリティが感じられます。 正に「現代の寓話」といった作品です。
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吾妻さんあらためまして素敵なレビューありがとうございます。 賜った的確なアドバイスを参考に、提出前に手直し改訂させていただきましたヽ(´▽`)/ 感謝です。また面白いと思ってもらえるようなお話を書けるようがんばります☆

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