この世の全物質は須く縁を持って産まれて来る、そこに垣根を設けてしまう事はある意味おろしい思考なのかも知れない。 光ある世界で光を奪われた主人公が影の存在となるべく夜に身を窶し、世の毒素を公にしていこうという仕様は、正にダークナイトと言うに相応しく、 ニヒルさが背負って来た業を物語っておりました。 罪のない世界に赦しは存在しない。自発的な愛も……まるで夜の闇に妖しく吹く風のような作品で一言で形容出来ないのが残念ですが、 最後の一節…。 屋根の上に吹いた風が風見鶏を揺らす場面は先行きの見えない「島」の行く末と、行き場を失った主人公が向かう「居場所」を暗示しているようでした。 各場面を想起してみると何れ日本に訪れるかもしれない未来を描いている。SFとしての本質を見事に書き上げた作品だと思います。
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