竹橋 夢仁

ベストレビュアーズの高内です。イベントから参りました。 失礼ながら千古さんの小説を読むのは初めてなので、Keyさんのように別作品と比較して語ることができません。申し訳ないです。 一言で感想を述べるなら「凄い。たぶん書くのも大変だったんだろうな。でも、疲れちゃうな」ですね。俗っぽくてお恥ずかしいですが。 出てくる熟語や表現から察するに、おそらくほとんどの文法的違和感は意図してなされたものなのだと思います。元々普通に書いていたのが普通の表現に飽きて崩すようになったのか、最初から崩して書いてしまったのかは分かりませんが(後者なら奇矯を衒ったイロモノと呼ばれるだけでしょう)。逆から読む形式からして実験的ですし。夢ってものは違和感の塊みたいなものですし。 問題は、それを受け取る側に対して千古さんの脳内を再現できるだけの材料を与えたかどうかです。 小説は読む人間があってこそのもので、最低限の読み取り材料は与える必要がある、というのが私の感覚です(自慰的な自己完結の作品でいい、という場合はその限りではありませんが、こういうサイトに公開している以上、不特定多数の人に読んでほしい作品と捉えます)。勿論、没個性になれというのではありません。難解なら難解なりに、難しくとも最後にはある程度の答えをみる必要があるという話です。 このとき、「最後まで読めばわかるから」は通用しません。多くの人(ライトな読書層も含む)に最後まで読んでもらい、評価されたいのであれば、いくらかのエンタメ性はどうしても必要になるからです。かわいい女の子もいいですが、あくまで小説なので文章的なエンタメ性ということです。エンタメ性も導入しすぎるとつまらなくなるのでそこは作者のバランス感覚が試されますが。 コメント欄に続きます
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映画の話になりますが、「タイタニック」の監督の専門はVFXです。しかし、万人受けする、チープと呼ばれてしまうかもしれないようなラブストーリーを主軸に据えるという苦渋の(推測ですが)選択をしたことで、沈没してゆく船の迫力あるVFXも含めてより大勢の人間に見てもらうことができたのです。 そこまで一般受けを狙えとは言いませんが、作品論とはそういうことです。 長くなりましたがつまり何が言いたいのかというと、自分の頭の中をただ書く、もしくは、誰もが口を揃えて「こんな難しい文章書くなんてすごいね」と評する小説などは、(誤解を恐れずに言うと)文才さえあれば、誰にでも書けるということです。その才能をエンタメ

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