FUUGA

幾多圧軋さんへ こんにちは。イベントに参加していただき、ありがとうございました。独特の文章、独特の雰囲気、独創的で些か毒々しいご作品、読ませていただいたのでレビューします。 この物語を一言で述べるなら「モノトーン」。荒漠の大地が水平線の彼方まで続く、そんな虚無を感じさせる文体でした。作者様は色彩表現を削ぎ落とされ、ハードボイルドでシュールな世界を、上手く表現されていたと思います。だからこそ、作品全体で貫かれる「赤」という色が、この上なく映えたのだろうと。 p.35「荒い息。赤い域」等、読者の脳裏に突如描かれる鮮烈な色。計算された砂漠とでも言いましょうか、強いインパクトを得ることができました。 また、映像を細断したような言い回しも魅力的でした。p.40「あっという間に。……阿っという魔に」。普通の小説ではできない表現です。誤字脱字の部類だからです。表意文字を効果的に用い、独特の禍々しさと非連続的な時間推移を、印象深く書き表していらっしゃいました。 最後にアドバイスを。これからも、状況に応じた文章量を書かれますように。45ページから、主人公がナイフに襲われる場面が出てきます。「もっと詳しく……後悔しても、遅いと」。その後も主人公の回想が長々と続きます。p.46「なるほど、成る程。……でも、でも、仕方ないだろう?」。スリリングな場面が、他の比較的緩やかな場面と全く同じ調子で述べられています。いえ、それは幾多圧軋さんの、ハードボイルドで良い点なのですが、多少くどいことは否めません。間延びしています。 この場面は、読者を話に引きずり込む重要なシーンの一つです。しかも、p.48「さて、では、続けようか」とありますから、読者の読書欲を賭けた文章でもあります。どうぞこれからも、推敲の伴った文章を書かれますように。 作者様は「出来る方」だと感じましたので、多少シビアな評価になってしまいました。すみません。面白い作品をありがとうございました。 FUUGA

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