たすう存在

レビューを書くために再読して、最初に思ったのは、冒頭のモノローグは一体誰が語っているんだろう、ということでした。 食べることが生きることとあるので、一見するとおばあちゃんなのかなと思わなくもないのですが、やっぱりこれはスミレの言葉だとするのが一番おさまりが良いようですね。 それもこの作品中の彼女ではなく、この作品で扱われているひと夏を経験したその後の、大人になったスミレの言葉であるように感じました。 作品中のどの人物も、鬼畜レビューから生まれたとは思えないほどにとても自然で、漫画的ではないのに個性的、ギャグではないのにくすりとさせられて、とても魅力にあふれていました。 やはり良い作品というのは、人物の魅力が一つの牽引力になっているのですね。 そして個人的にやっぱり特筆すべきだと感じたのは、あの圧倒的な描写力、文章力でした。 うどん打ちの描写などは本当にリアルで、わざわざ取材のために体験してきたのかな?と思う程でしたし、ひとつひとつの描写が緻密であるのに情報が精査されているためか、リズム、流れがよくて、すっと入ってくるのにしっかりとその情景に入り込まされます。 僕が特に感じ入った描写は、なぜか波打ち際のシーンでした。 このシーンに限らず、全ての描写がムラなく素晴らしいのですが、敢えてひとつ引用しみますと  サンダルを脱ぎ捨ててスミレの隣に立つと、さあっと足元に寄せてきた波が引いて、まだ熱を残した砂が足の下で崩れてさらさらと動く。 あるいはその中に立つスミレの描写  色素の薄い栗色の髪がオレンジ色の太陽に照らされて、その輪郭がぼんやりと光って見えた。同じ色の瞳にも、太陽が映り込んでる。 こういう部分などは、感嘆すると同時に、同じ物書きとしてやはり嫉妬せずにはいられません。 作品を支える美しくもリアルな描写の力で、他の方はうどんを食べたくなった、ジムノペティを聴きたくなったと感想を述べていますが、僕はやはりこの島を訪れたくなりました。 夢のあとさきとさらなる未来、二人の恋の行方と成長、とても真摯なテーマを暗くならずに、でもしっとりとした重みをもって描かれた、素晴らしい作品でした。 二人のその後? 読みたいに決まってますよ。
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親方、こんばんは。 海嫌に素晴らしいレビューをありがとうございます。 本当に嬉しいです。 冒頭のモノローグは、親方の仰る通り、スミレのものです。 レビュー縛りがあったので、おばあちゃんの可能性も残しつつぼかしています。 ちなみに、作品中の途中に挟んであるモノローグも、颯太ぽく見せてスミレとも取れるようにしてありました。 敬愛する親方にこんなにも褒めていただいて、本気で縦読みを探しました。すみません。 嬉し過ぎて混乱しました。 何度も読み返して、明日からまた頑張ろうと思います。 ありがとうございました(*´ω`*)
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ああ、あれはローマ字に直してから縦読みするんですよ← ……いや、本当にすごく良い作品でした。 ぜひとも何か公式イベントに出して欲しいなと思ってます。 もし合いそうな賞があったら、ぜひとも検討してみてください。 夏イベ参加、本当にありがとう(´∀`)
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