美森 萠

『冬の恋愛』をテーマにした今回のイベント。 まさかのファンタジー作品、しかも舞台は「灼熱の夏だけが残った世界」ということにまず驚きました! 古の夏の王が他の全ての季節を飲み込んでしまった荒廃した世界で繰り広げられる、様々な愛の形。 世界を支配する資格を与えられながら、愛する人のために王に戦いを挑むサソリの一途な愛。 想い人と引き離され、再会を願い、王に身を捧げ自由を奪われたユキの献身的な愛。 愛した人がかけた呪縛から逃れられず、身代わりに愛した人を冷たい部屋に閉じ込める王の独占欲。 改心を願いつつも、愛した人の手にかけられてしまった女王の悲痛な叫び。 こうやって書き出すと重たい印象を抱かれるかもしれませんが、物語は沙耶さんの美しく透明感のある文章で綴られており、スッと染み入るように彼らの想いを汲み取ることができます。 サソリとユキが再会した、氷で覆われたの部屋のゾッとするような冷たさ。 物語のラスト、ようやく取り戻した冬の夜空に解き放たれる、無数の星。 『夏』だけの世界を描きながら、読者に強く『冬』を意識させるエピソードもあり、見事に『冬の恋愛』を描いていたと思います。 イベント参加小説一作目にして、非常にインパクトのある作品でした。 ご参加ありがとうございました。
4件・1件
レビューありがとうございます。 【冬の恋愛】なのに、冬がどこにも見当たらない気がして、 何度か青い鳥で叫んでしまいましたが、このような形のお話になりました(;´∀`) 冬を感じてもらえるか公開した後もずっと心配だったので、灼熱の夏の中に隠れる冬を見つけていただけて嬉しかったです。
1件

/1ページ

1件