つばさ

ずっと胸に秘めた復讐という野望を実行するためだけに生きてきた女。 捨て駒にしかしないはずだった貴方。 決して愛してはいけない男。 それでも、触れてしまった温もりに熱さに惹かれる心…。 家族という温もりを知らずに生きてきた男。 掴もうとしても掴めない近づくほどに遠ざかる女。 忘れようとしても心の中から決して消えていかない女。 君はなぜ俺の前から消えた…。 「政宗×八重」 「匠×美森」 という二重層が奏でる物語。 当初は、別建てのふたつの物語がどこかでつながるのかなと思いましたが そういう展開でしたか…。 ミステリアスな要素をはらみつつ、後半からの怒涛の展開。 美森の放つ数々の策謀が完結するかと思いきゃ、物語はそう簡単に終結しません。 この作品は、社会的にタブー(禁忌)とされていることにあえて挑むヒロインの物語です。ヒロイン美森はそれを確信犯としてやってのけるのです。 それに巻き込まれた匠はある意味、被害者です。 常識的に考えればいくら復讐のためとはいえ、ありえない話です。 人の命をそんな風に扱っていいのかと…。 しかしながら、それほどのことを美森は大切な家族からされたのだから復讐なのだと…。 このタブーをどうとるかでこの作品に対する評価が分かれると思います。 ここまでの重い内容にもかかわらず、この作品の読後感は悪くありません。 むしろ、ある種の爽快感すらあります。 それは、被害者であったはずの匠が決してぶれないからです。 父と美森の会話を立ち聞きしても、決して逃げない。 普通だったら、衝撃の余りその場から逃げさってもおかしくない。 匠は、真っ白になりながらも美森を決然と守り敵に鉄槌を下す。 真実を知った匠はすべてを受け入れ、徹底的に愛するものを守りとおします。 共に生きることを選んだ匠は被害者から、美森の共犯者になります。 このヒーローの姿勢がこの作品を重苦しい雰囲気から解き放ち、 爽快感に変えています。 完結後の応援特典にでてくる主人公の名前に作者さんの愛を感じます。 ある種の覚悟がないと読めない作品です。 それでも、この作品の描く愛と正義、人の心はどんなタブーさえ冒す計り知れないものだという言いようのない痛みを感じてほしいと思います。
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つばさ さま 沢山の大切なお時間を『確信犯』に使って寄り添ってくださって、本当にありがとうございました。 現実にいる方々や、海外の法律事情をお心に留めてくださった上で、こうしてご感想を寄せて頂けるとは思ってもみませんでした。 『確信犯』という言葉が持つ意味を深く読み取ってくださったことを含め、つばささまの温かいお心遣いに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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