ねたふり狸

(応援)   貴金属店なのに、『むかち』。 このタイトルは、フリなのか、ツッコミ待ちなのか。   この作品は、向智貴金属店で語られる事件を、現場に赴くことなく店長が解決する、本格推理小説の短編集です。   推理小説の中にも幾つかのジャンルが存在しますが、この作品は『安楽椅子探偵(アームチェアデイテクティブ)』に分類されます。 しかも、『事件』という設問に対し『解決』という答え合わせが明解な、『本格推理小説』。 そこには勢いやお涙頂戴などでごまかすことのない、純然たるフェアプレイ精神が息づいています。   現場の状況を見ることなく、関係者に話を聞くことなく、語られる状況とわずかな証拠から、犯人を導き出す。 探偵役である店長に与えられる情報は読者に与えられるものとまったく同じ。すなわち、探偵と読者は同じ条件で事件に向き合っている。 上手く行けば、店長と同じ思考をたどって推理し、店長が真相を明らかにする前に解答を導き出せる。   出題者である作者が必要な情報をすべて読者に提示しているんですから、けっして解けないわけではないはずなんです! 折房ミステリは、マジガチなフェアプレイで読者に謎と謎を解くための手掛かりを提示しています。 もちろん、この『むかち貴金属店の優雅な日常』も折房ミステリの王道。   ……大丈夫、解けなくても楽しめます。ほぼ全敗の私が楽しく読んでます。く、悔しくなんかないんだからっ!   真相に辿り着けなくても、店長の鮮やかな推理で目から鱗が落ちる爽快感が得られます。   ちょっと天然ボケが入った店長に、キレ良く鋭く突っ込む語り手の『私』の一人称も『むかち貴金属店の優雅な日常』の持ち味の一つ。 甘党な店長が、スイーツに釣られて推理を披露する終盤はコミカルな微笑ましさが増量。 本格推理、天然甘党ゆるゆる店長ののほほんな日常、語り手『私』のライトな毒舌。   あえて本編の詳細をぼかしました。 まずは最初の一編、あなたの目で、いかがですか?
素敵なレビューありがとうございます。 タイトルはもちろん突っ込み待ちですよ。

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